11月には近隣の中学校を対象とした「出前授業」を行う。社会人に必要なコミュニケーション能力が問われる

静岡県東部最古の工業高校として、県内企業を中心に2万人以上の卒業生を輩出してきた沼津工業高校。就職、進学両面のきめ細やかな進路指導が特徴だ。(青木美帆)

インターンシップで意識が変化

昨年度、静岡県の平均高卒求人倍率が1.3倍だったのに対し、同校は実に5.3倍。就職希望者の内定率は少なくとも20年以上100パーセントだという。
2年時には2日間のインターンシップに参加する。鉄道会社への就職を希望している田原颯太君(3年)は、憧れの鉄道会社で車両工場の見学や駅の配電盤の電気測定などを行った。「表から見えない人たちが電車の安全を保つことが分かった」と振り返り、「鉄道会社では時間やルールを守ることがとても大事だと分かったので、授業などにも絶対に遅れないよう心掛けています」と話した。

興味関心で基礎学力をカバー

例年3割程度の生徒が進学を希望する。普通高校と比べて基礎科目の単位数が少ない工業高校出身の生徒は、進学後、最初は授業に苦戦することもあるというが、大学からの評価は高いそうだ。「興味・関心のあることを追求するために一生懸命勉強するし、実験や実習ではリーダー的存在として活躍していると聞きます」(進路指導部長の高木行博先生)
 ソフトウェア開発を志す上面和也君(3年)は、志望大学への進学後を想定し、専門書を読んだり、TOEICを受験するなど着々と準備を進めている。

一週間をかけて行われる体育祭は、応援席の製作から始まる本格的なもの。企業の人事担当からも「みんなで作り上げる力を養っている」と好評だそうだ