4月13日にあった京都府高校春季陸上競技大会には円盤投げで出場。49メートル49の大会新記録で優勝した。

獲るぞ!インハイ3冠!! 円盤・砲丸・やり

砲丸投げで全国高校総体(インターハイ)2連覇、円盤投げで国体制覇、やり投げで世界ユース選手権に出場した石山歩(京都・花園3年)=兵庫・福崎東中出身=。今季は高校最後のインターハイで投てき種目3冠を目指す。卒業後はやり投げ1本に専念し、憧れの五輪出場を目指すという。(文・写真 中尾義理)

世界と勝負できる 

2012年のインターハイで鮮烈にデビューした。1年生ながら男子砲丸投げで優勝する快挙。昨年は高2歴代最高記録の17メートル04で2連覇を飾った。しかし、円盤投げは9位、やり投げは13位。晴れ時々曇りの夏だった。

国内のみならず、世界大会にも出場して経験を積んできた。昨年のインターハイ前には世界ユース選手権(ウクライナ)にやり投げで出場。予選落ちに終わったが、悲観はしていない。「同年代でも世界は次元が違う。でも負けたくない気持ちが前よりも湧いてきた」と目が覚めた。

今は3種目に取り組むが、高校卒業後は1つに絞る。「五輪を目指すならやり投げです。やって楽しい。見てかっこいい。投てき種目の中で一番遠くに飛ぶ。世界と勝負できる」とやり投げの魅力を並べる。

見る人を興奮させたい

「やり投げで世界へ」というビジョンは憧れから生まれた。陸上競技を始めた中学1年の夏、インターハイで兵庫・市尼崎のディーン元気(ミズノ)がやり投げと円盤投げで優勝、砲丸投げ6位と活躍。ディーンは同じ兵庫県の投てき少年だった石山の目標になった。

外国勢にパワーで圧倒される砲丸投げや円盤投げと違い、やり投げは日本人でも勝負できる。ディーンは早大3年時にロンドン五輪決勝に進出。09年世界選手権では村上幸史(スズキ浜松AC)が銅メダルを獲得した。先輩たちの雄姿が石山をその気にさせる。

高校では男子投てきのインターハイ覇者や入賞者を数多く育てている石井田茂夫監督から指導を受ける。練習はやりや砲丸、円盤を投げるだけでなく、野球の硬球を使うキャッチボールやバッティング、ゴルフのスイング、器械体操も取り入れ、骨盤の動きや重心の使い方、バランス感覚などを鍛え徹底して体の土台を築く。体幹も強化され、見た目の体格は引き締まったが、体重は中学時代より10㌔増えた。

今夏のインターハイ3冠は高い目標だ。円盤投げとやり投げには石山を上回る記録を持つライバルもいる。「今は石山といえば砲丸投げと言われますが、将来はやり投げの石山と呼ばれたい。東京五輪は出るだけで満足するのは嫌。見る人を興奮させる結果を残したいと思っています」。石山が歩んでいく軌跡に期待が注がれる。

体幹を強化し、よりたくましくなった体で世界を目指す。
いしやま・あゆむ
1996年6月2日生まれ。中学3年時に砲丸投げで全国中学大会を制覇。インターハイは砲丸投げで2連覇中。自己ベストは砲丸投げ17メートル04、円盤投げ50メートル14、やり投げ66メートル73。179センチ、88キロ。