「スマホから目を離すと周りがかすんで見える」「夜になるとスマホの文字が見づらい」──。俗に「スマホ老眼」と呼ばれる目のトラブルが近年、クローズアップされるようになった。スマホとうまく付き合い、目の健康を保つ方法についてクイーンズアイクリニックの荒井宏幸院長に話を聞いた。(青木美帆)

目の酷使でスマホ老眼に

スマホ老眼とは、目のピントを合わせる筋肉の酷使によって、目の調節機能に起こる障害のこと。ゲーム、とりわけ画面が激しく変化し、まばたきも忘れてしまうシューティング系は筋肉の疲労が大きく、荒井院長を訪れる患者には小学生もいるという。「近くの物を見続けるというのは、ピントの筋肉にとって、重りをずっと持っているのと同じこと。足などの筋肉痛と同様に、スマホ老眼も休めば治るものです」と荒井院長は説明する。

特に、移動時のスマホ利用はLINEの返信程度にとどめ、ゲームは時間を決めて遊びたい。「スマホを使い過ぎたと思ったら、近くを見ないこと。温めたタオルを2〜3分間、目の上に置くのも効果的」という。

近視が進むリスク

スマホの使い過ぎは、近視を進ませる可能性をはらむ。荒井院長によると、20代までに強度の近視になると、将来、緑内障や網膜剝離といった失明を伴う病気のリスクが上がるという。目の健康を守るためにも、スマホとは適度な距離を持って付き合いたい。

スマホ見過ぎたら…手軽に目を休める方法

対策1
 テレビを見る
 スマホで近くを見過ぎたら、筋肉を休めるために遠くを見ること。テレビ観賞も意外に効果的という。

対策2
 温タオルを目に置く
 バスタイムを利用して、血行を良くして筋肉をほぐす。その後、勉強をする場合は行わない方が良い。

 

あらい・ひろゆき 
 医学博士・眼科専門医。著書に「スマホ老眼は治る!」(扶桑社)など。