2メートルを超える留学生選手を相手に、体を当てることを恐れず積極的に守った吉崎綾汰選手(青木美帆撮影)

■あまりに悔しい敗北

12月23日に東京体育館で開幕した全国高校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ)。男子1回戦、広島皆実(広島)は明徳義塾(高知)と対戦した。留学生を含む2メートルプレーヤーが2人コートに立つ明徳義塾を、巧みに守り、最大12点の大量リードを奪った。しかしじわじわと点差を詰められ、試合終了まで残り19秒で逆転された。ラストスコアは56-59。あまりにも悔しい敗北となってしまった。
 
  留学生選手にマッチアップしたのが184センチの吉崎綾汰(3年)=広島・高屋中出身=だった。明徳義塾の大黒柱であるアユエン・ピーター・マジョック(3年)=南スーダン出身=をわずか3得点に抑える好守を見せた。サイズには恵まれないが、「相手の足元に入って、ていねいに守れる」と藤井貴康コーチ(45)が信頼を置く”ビッグマンキラー”だ。
(文・写真 青木美帆)
 
――試合後に足をひきずっていますが、けがをしていたのですか?
 第4ピリオドの初めに痛めました。プレーしている間はそんなに痛まなかったのですが、きちんと踏み込むことができなくて……。チームに迷惑をかけてしまいました。
 
――第4ピリオドは少し精細を欠いたように見えましたが、けがのせいだったのですね。留学生センターを守るために、どんなことを心掛けていましたか?
 自分は高さがないので、割り切るところは割り切ろうと考えました。外のシュートは捨てるけど、ゴール下に入ろうとしてきた時は体をうまく使って、簡単に入れさせないようにしたり。リバウンドでもうまく体をぶつけて、相手の動きを止めることを心掛けました。

――チームには187センチの伊森響一郎選手(2年)=広島・国泰寺中出身=がいますが、より注意すべきマジョック選手を守ったのは吉崎選手でした。普段からセンターを守ることが多いのですか?
 はい。一番大きい選手には、いつも自分がつきます。そこは自分の仕事というか…楽しいことだと思っています。

「アウトサイドシュートは大学へ向けての課題」という吉崎綾汰選手(青木美帆撮影)

■高校入り「ディフェンス頑張る」決意

――ディフェンスは昔から得意だったのですか?
 中学時代は正直あんまり……。ディフェンスが好きじゃないというか、オフェンスをやりたいタイプでした。高校に入ったときに、身長のない自分がどうすれば活躍できるかを考えて、インサイドのディフェンスを頑張ろうと思うようになったんです。大きい先輩を相手にしっかりマッチアップして、守り方を学んできたせいか、藤井先生は能力がない自分を、1年の時から試合に使ってくれました。
 
――振り返ってみると、どのような3年間でしたか?
 中学は県大会も出たことがないチームだったので、全国各地に練習試合に行ったり、全国大会に出たりすることは、夢のようでした。