ハエの幼虫を観察する岡部さんのまなざしは真剣そのものだ

 

■出会いは小学生

「幼虫を顕微鏡で観察すると、体が反射板の光でキラキラと輝き、とても神秘的で美しいんですよ!」。そう興奮気味に話す。

 ハエとの出会いは小学校3年生の時。腐ったトウモロコシに湧いたハエを見て「なぜ汚い環境の中で生きていられるのか」と疑問が浮かんだ。

 高校入学後、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の活動の一環として、1年生の時にキイロショウジョウバエの交尾能力について、野生と飼育の違いをグループで研究した。

 高校2年生になってからは、個人でハエの幼虫の研究を続行。「唾液のpH(ペーハー)が酸性に偏っている現象」と「飼育している試験管内の幼虫の周囲にカビが生えない現象」に注目。「幼虫が抗菌作用のある物質を分泌しているのではないか」と仮説を立てた。

■猛スピードで研究

 実験を重ねた結果、幼虫に存在する白色細菌由来の物質と、幼虫による分泌物由来の物質の双方に細菌の繁殖を抑える作用があることが分かった。

 放課後は毎日午後7時まで研究に没頭している。そんな岡部さんをサポートする、生物担当の吉田直史先生は「日本学生科学賞の地区大会に間に合わせるために、仮説を立ててから1カ月という猛スピードで結果をまとめ上げた。集中力や独自の着眼点、仮説を立てる力がある」と目を細める。

■次の目標は世界の舞台

 現在は埼玉大学の協力を得ながら抗菌作用物質の特定を進めている。「将来(医療のための)抗生物質に応用できるかも」と声を弾ませる。

 5月、世界各国の高校生が研究を披露する「国際学生科学技術フェア(ISEF)」に参加予定だ。「世界の場に恥じない発表をしたい」と気合十分。将来、米国の大学院で医学を研究するのが夢だ。

(文・写真  野村麻里子)