高校生世代にとっても気になる風邪の治し方について、感染症・呼吸器内科が専門の医師・川名明彦先生に聞いた。(野口涼)

Q. 風邪をひいた時に抗生物質(抗菌剤)を飲むほうが早く治りますか?

A.基本的に効果はなく、早くは治りません

 

風邪をひいて病院で抗生物質を処方してもらうことはよくあると思いますが、これは風邪を治すためではありません。

抗生物質は細菌を殺す薬ですが、風邪はほとんどがウイルスによるものなのです。したがって、基本的に抗生物質は効きません。抗生物質は人の健康の維持に役立つ常在細菌まで殺してしまうため、かえって飲むのはよくないケースもあります。

では風邪のとき、抗生物質が処方されることがあるのはなぜでしょう。答えは風邪をこじらせ、副鼻腔炎や中耳炎、扁桃腺炎、肺炎などになってしまっているからです。

例えば、風邪で喉がウイルスにやられると、異物を排除する喉の繊毛運動の働きが低下し、細菌がつきやすくなります。このことが原因で起こった扁桃腺炎などを治療するとき、抗生物質が処方されるのです。

 

川名明彦先生 

かわな・あきひこ 防衛医科大学校病院感染症・呼吸器内科診療部長。防衛医科大学校内科学講座(感染症・呼吸器)教授。医学博士