7月、放送部の全国大会「第66回NHK杯 全国高校放送コンテスト」(全国放送教育研究会連盟、NHK主催)が行われ、広瀬陽菜さん(千葉・検見川高校3年、放送委員会)がアナウンス部門で優勝に輝いた。柔和な表情から紡がれる、表現力豊かな声が魅力だ。初心者からアナウンス技術を高めた努力の過程を聞いた。(文・写真 中田宗孝)

「Nコン放送」アナウンス部門で日本一となった広瀬陽菜さん。千葉県の高校生が同部門で優勝したのは初めて

全国大会の決勝の舞台はトップバッターだったが、堂々と自作の原稿を読み終えた。審査の結果、アナウンス部門に出場した3641人(地区大会含む)の頂点に立った。「優勝発表の瞬間は意外と冷静(笑)。ですが、客席からみんなの大歓声が聞こえました」。放送委員会の仲間の声に喜びをかみしめた。

暗い、怖いと言われて

アナウンスに興味を抱いたきっかけは、中学の吹奏楽部のコンサートで司会を務めた経験だ。友人から「声がきれい」と褒められ、その気になった。だが1年生の時に、広瀬さんの読みを聞いた周囲の評価は「硬い、暗い、怖い」だった。「読みの時の雰囲気が怒ってるみたいで怖い、と。表情に明るさがまったくなかったんです」

いたらぬアナウンス技術は、日々の地道な発声・滑舌練習で向上させた。「毎日1~2時間、基礎練習の繰り返しに多くの時間を費やしました」。原稿をスムーズに読むだけでなく、明るい話題の時は明るい表情になるよう、表現力にも磨きをかけた。「『読み』と『表情』のテンションを合わせるんです。例えば、明るい表情で原稿を読むと、声に明るさが加わり、笑顔感のある声に変化します」

また、後輩たちに聞き役を頼み、大袈裟に抑揚をつけて原稿を読んでみる独自練習にも取り組んだという。「原稿の言葉をあえてフランクにして『こんにちは! 今日は私たちの学校の卒業生を紹介しますっ!』みたいに、プレゼンテーションをするかのように。豊かな表現力を育む効果があるんです」

自分で取材し原稿執筆

大会でアナウンスする原稿は、自校の校内放送での使用を想定した内容と決められている。同校の放送委員は平日の昼休み、校内ニュースや、先生・生徒の声を届ける15分間の生放送を行う。広瀬さんも週2回、取材などで得た情報を原稿にまとめて、自らの言葉と声で発信している。「普段から緊張感を持って放送する生放送での積み重ねが力になりました」

実際に広瀬さんが読んだ原稿

全国大会では、かつてあった同校物理部で活動した約30年前の卒業生たちから当時の思い出話を取材し、1分30秒以内のアナウンス原稿に仕上げた。

原稿を読む時は「人へ伝える」「人に伝わる」意識を常に持つことを大切にする。「私の声を通じて、元物理部のみなさんがあの頃に懐かしさを感じてもらえるように読みました。取材に協力していただいた感謝の気持ちも声に込めました」