世界新体操選手権の代表の座を獲得した河崎羽珠愛(4月19日、栃木県立県南体育館)

9月にドイツで開催される第34回世界新体操選手権の日本代表選考会が4月19日に行われ、河崎羽珠愛(かわさきうずめ)(千葉・植草学園大付3年)が2位に入り、代表の座を勝ち取った。中学時代までは目立つ選手ではなかったが、高校生になってから頭角を現してきた。(文・椎名桂子、写真・末松正義)

高校入学後に急成長

 「(急成長の)きっかけになったのは、高校1年の時のユースチャンピオンシップ。たまたまミスなく演技ができたら優勝できて、自信になった」と河崎は言う。

 2年生で同大会を連覇し、全国高校総体(インターハイ)、全日本選手権でも優勝。3年生になった今年、世界選手権への出場を決め、驚異的なスピードで階段を駆け上ってきた。代表選考会では「今までに経験したことのない緊張感があった」と言いつつも、ミスを最小限に抑え、得意のジャンプもダイナミックに決めた。

 日本体操協会の山崎浩子強化本部長は「急成長している選手。個性があるので、他の選手にはないものが出せる」と、河崎の伸びしろに期待を寄せる。

地道な努力が強み

 ユースで初優勝した1年時は「表現力に課題がある」と言われていた。確かにそのころは、どんな曲でも振り付けでも、曲調に合わせることなく「元気いっぱい」に踊ってしまう選手だった。しかし、2年生になってからは、フィギュアスケートの浅田真央や高橋大輔が採用したドラマチックな曲を使うようになり、フィギュアの動きも参考にしながら表現力を磨いてきた。

 世界選手権の個人競技の代表は3人だが、河崎以外の2人(早川さくら、皆川夏穂)は、特別強化選手としてロシアに留学し、ロシア人コーチの指導を受けている。その差がまったく気にならないわけではないだろう。それでも河崎は「私にはまだ日本でやれることがたくさんある。こつこつとやっていきます」と言う。

 そのマイペースさと、地道な努力を積み重ねられることが河崎の強みだ。世界選手権本番まで、さらに成長し続けるに違いない。

 かわさき・うずめ 1997年9月26日生まれ、千葉県出身。千葉・高洲一中出身。新体操を始めたのは2003年から。14年ユースチャンピオンシップ、インターハイ、全日本選手権で個人総合優勝。イオン所属。164センチ、46キロ