大学入試センター試験は2020年1月の実施で幕を閉じ、21年度入試からは「大学入学共通テスト」(新テスト)が始まる。英語のマーク式の試験も少なくとも24年度入試までは続行するが、センター試験とは配点も問題構成も大きく変わる。ポイントをQ&Aでまとめた。

民間試験とマーク式の両方が入試に使われる

Q 英語は民間の試験が導入されると聞いたけど。

A 英語は、国が認めた民間の資格・検定試験を受験生に受けてもらい、結果を大学入試センターがとりまとめて大学に提供する仕組みがつくられる。民間試験で、「読む」「書く」だけでなく「話す」「書く」を含めた「英語4技能」を測りたい、というのが国の考えだ。大学受験生の多くが高校3年生の4~12月に2度まで民間試験を受ける必要が出てくる。一方で、大学や高校の要望をふまえ、センター試験に引き続き英語のマーク式の共通テストも続行することになった。少なくとも24年度入試まで行われることが決まっている。

新テストの試行調査での英語の出題1

Q マーク式の試験はいつ行われるの。

A 1月中旬頃に行われる大学入学共通テストの中で国語、数学といった他の教科と同様に行われる。その点では、センター試験の英語と実施方式は変わらない。これまでセンター試験の英語を選抜に利用していた大学の多くが引き続き、新テストの英語を利用するとみられている。

配点は読解と聞き取りが半々に

Q 変わることはあるの。

A まず配点が大きく変わる。センター試験の英語の配点は筆記試験が200点、聞き取り試験が50点だったが、センターは、「英語教育改革で各技能をバランスよく評価することが求められている」として、新テストの筆記(リーディング)と聞き取り(リスニング)の配点を同じにする。18年11月に行われた試行調査(プレテスト)では、それぞれ100点満点だった。本番も同様になるとみられる。ただ、センター試験と同様、各大学がセンターから提供された点数に重みをつけて(例えば筆記のウエートを増やすなどして)選抜に利用することは可能だ。

新テストの試行調査での英語の出題2

発音・アクセント・語句整序の出題を取りやめ

Q 出題内容は変わるの。

A センター試験とは問題構成が大きく変わる。センター試験では、「話す」「書く」の2技能を直接測れないため、発音やアクセント、語句整序などを選択式で問う設問を長年出題してきたが、新テストではこうした出題を取りやめる。こうした出題は「受験のための英語」という批判があったほか、民間の資格・検定試験で「話す」「書く」技能を直接測れることから、大学入学共通テストのマーク式試験は「読む」「聞く」技能だけを測る試験として出題することになった。試行調査で、発音問題などをなくして出題しても、受験生の英語力を問題なく識別できたことから、取りやめに踏み切ったという。

新テストの試行調査での英語の出題3

生活や授業の中の場面設定が増える

Q 文章を読む問題が増えるの?

A リーディング、リスニングとも、大学入試センターは日常生活や、学校の授業など「実際のコミュニケーションを想定した自然な場面設定」を重視している。これまでの試行調査では筆記試験では、飲食店の口コミ投稿サイトやブログを題材にしたり、授業で討論や発表をする準備として参考資料となる英文を読ませたりする問題があった。聞き取り試験でも、日常生活や大学の講義といった場面設定がされた。高校生の英語の学習でも、実際に英語を使う場面を想定した授業や練習が有効になりそうだ。