星野源。今や誰もが知るアーティストとなった彼の最近の曲は、ポップなものが目立つ。だが最初のころは落ち着いた曲も多かった。「老夫婦」という曲もその一つだ。わずか2分半ほどの数行の歌詞が心に残る。

曲中では、この夫婦についてはあまり説明されない。ただ、曲後半の「ららら」がずっと続く部分で、なぜか、おじいさんが天国のおばあさんとの生前の記憶に思いを巡らせているのだと感じる。そのおじいさんの表情すら、自然と脳裏に浮かんでしまう。

歌詞で語らず、メロディーで語る。それを体現しているのがこの曲だと私は思う。アーティストの「今」を楽しむのもいいが、「過去」にも目を向けてみてはどうだろうか。(上田有悟・1年)