練習から常に全力を心がける西川。憧れだった全国高校選手権で日本一を目指す

2年ぶり11回目の全国高校サッカー選手権出場を決めた桐光学園(神奈川)で、FW西川潤(2年)はエースナンバー「10」を背負う。今夏の全国高校総体(インターハイ)ではチームを準優勝に導いた。卓越したテクニックでプロのスカウトからも注目される逸材だ。常に現状には満足せず、「自分を成長させたい」という飽くなき思いが進化を支えている。(文・写真 小野哲史)

得意なのは左足

中学時代までクラブチームでエースを担ってきた西川が、次なる戦いの舞台として高校サッカーを選んだのは「全国高校選手権に出たい」という思いと、自身をよりレベルアップさせるためだった。「(桐光学園出身の)兄から練習は厳しいと聞いていて、激しい守備からゴールにつなげるという自分の課題もチームのコンセプトと合致しました。ここでなら、さらに成長できると感じました」

最大の武器は、切れ味鋭いドリブルと精度の高い左足のキック。今年のU-16アジア選手権の決勝で日本代表を優勝に導いたゴールも、選手権の県予選決勝で挙げた先制点も、いずれも得意の左足から放たれたものだ。日々、自分の強みを磨きつつ、弱点の克服にも余念がない。「右足やヘディングも自主練習で取り組むようにして、去年よりはだいぶ良くなってきたと思います」

課題見つめレベルアップ

試合でも練習でも「いつも全力でプレーする」ことを意識している。昨年の夏から秋にかけて「試合に出る機会が減り、日本代表にも呼ばれずにへこんだ」時期があった。それでも腐ることなく「自分の課題と強みを再確認し、目の前の練習に全力で取り組むことで少しずつ状況が良くなっていきました」

今年度はインターハイで6得点4アシストをマークし、チームの準優勝に大きく貢献。選手権県予選でも5得点5アシストと、エースにふさわしい活躍を見せている。その間、U-16アジア選手権への出場もこなし、体力的にも精神的にもきつかったはずだが、「代表選手なら当たり前。チームメートの協力もあるので問題ありません」と、周囲の人たちへの感謝も忘れていない。

世界に通用する選手に

目下の目標は30日に始まる選手権での桐光学園初の全国制覇だ。そこを通過点として来年はU-17ワールドカップ出場、将来は「プロになって世界で通用する選手になる」という夢を抱いている。貪欲かつ旺盛な向上心が、西川を高みへと押し上げる。

Q&A 清水翔太の曲「毎日聴く」

Q 好きな食べ物、音楽や本はある?

A 食べ物は焼き肉が好きです。音楽は清水翔太が好きで、ほとんど毎日聴いています。最近読んだ本は「前祝いの法則」で、あらかじめ祝っておくと運を引き寄せるという内容でした。

Q 競技前に緊張しないようにやっていることはある?

A 緊張は不安から生まれると思うので、不安を取り除くためにも最善の準備をすることが大事だと思います。

Q 好きな言葉、座右の銘はある?

A 特にありません。部の今年度のテーマである「絶対謙虚」は意識しています。

Q オフの日は何をしている?

A 友人と東京の表参道や町田に行って遊んだり、体のメンテナンスをしたりしています。

にしかわ・じゅん 2002年2月21日、神奈川県出身。川崎・白鳥中卒。兄の影響で、幼稚園の年中から青葉フットボールクラブでサッカーを始めた。中学時代は横浜F・マリノスジュニアユースに在籍し、2年次に全日本クラブユース選手権優勝。U-16日本代表として、今年9月のアジア選手権で優勝し、自身はMVPに選ばれた。181センチ、67キロ。