文化祭の大型アトラクションとして「回転シーソー」を企画する学校が近年増えつつある。人力で座席を上下に動かし、シーソー全体を回転させる遊具だ。八王子高校(東京)の文化祭(9月29、30日)では、2年7組37人が製作に挑戦した。 (文・写真 中田宗孝)

八王子高校2年7組が作った回転シーソー。6人の生徒が人力で回す

電飾ちりばめ星を表現

2年7組が製作した全長約5.5メートルの回転シーソーは、両端の座席に1人ずつ乗るタイプで、生徒6人で動かす。暗がりの教室は、宇宙をテーマにした空間。瞬く星を連想させる電飾がちりばめられている。体験者は、盛り上げ役の生徒たちの元気な掛け声とともに、「宇宙旅行」へと出発! ぐるぐる回りながら、体は浮いたり沈んだり。まるで宇宙遊泳をしている気分だ。

客もクラスも楽しめる

クラスみんなで作り上げた

企画は、クラスの文化祭委員5人が主導。回転シーソーを完成させた他校の文化祭の様子をYouTubeで見て、挑戦を決めた。「これならお客さんに喜んでもらえるし、回す人や接客も絶対に楽しいと思いました」(永田涼葉さん)。「私たちの学校で今までやってない出し物がしたい!」という思いとも重なった。

夏休みに、他校の動画を参考にして文化祭委員と担任の冨田雅也先生による共同作業で設計を進めた。どのように動かすのか、必要な材料や工具は何かを細かく調べた。

9月から、文化祭委員が鉄パイプ約40本を高速カッターで加工して組み立てを始めた。製作当初こそ、委員と他のクラスメートとの間に意欲の差があった。だが、委員の呼び掛けを機に、1人、2人と協力者が増え、気付けばクラス全員が団結して内装や外装作りに没頭した。

行列ができる人気企画に

自クラスの自信作に笑顔をみせる塩原さくらさん(中央)

文化祭当日。教室の外には順番待ちの長い行列ができた。体験者1組が乗り終えると、すぐさま整備担当の生徒が座席のクランプ(鉄パイプ同士をつなぐ機材)を締め直し、上下運動する座席の衝撃を和らげるタイヤのズレを正す。安全面も徹底した。

体験者からは「クオリティー高い!」「すご~い!」と、驚きや絶賛の声が上がった。「製作中は、完成を諦めかけたことが何度もありました。だけど、お客さんの楽しそうな表情を見て、本当に作って良かったって思いました」(西口海姫さん)。2日間で約650人が体験した。

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