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高校生新聞の人気企画「マナビ最前線」と明治大学のコラボ企画「明治のマナビ」では、さまざまな学部の教授陣の研究室を訪問し、今イチオシの学びを紹介しています。

【マナビ最前線】手芸とCGの融合~CGを身近なものづくりに応用する~(明治大学)<PR>


明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 五十嵐悠紀准教授にお話を伺いました。

1からプログラミングを学べるカリキュラムを用意

五十嵐悠紀准教授

コンピュータグラフィックス(CG)と聞くと、たいていの人がゲームやアニメ、映画などのCG映像をイメージするのではないだろうか。こういったコンテンツが「享受するもの」だった時代から一歩進んで、最近では誰もが手軽にCGを制作できるツールが数多く提供されている。「本学科では、それらを使いこなすことはもちろん、CGの新たな使い方を自ら開拓できるような学びを用意しています」。そう話すのは、総合数理学部先端メディアサイエンス学科の五十嵐悠紀先生だ。

入学すると、まずはフリーのモデリング(立体物の形成)ソフトを使ってCGの制作を体験。「同時に、CGで表現される立体は三角形(ポリゴン)の集合でできていること、その三角形の数が多ければ多いほど滑らかな表現ができる代わりに、動きが遅くなることなど、まずは基礎的な知識を習得します」(五十嵐准教授)。

また、入学直後の第1クォーター(7週間)では、週に2回のプログラミングの授業が必修。5月末に大ホールで行われるプログラミング発表会までには、全員が簡単なプログラムを組めるようになるという。「1年からゼミに仮配属され、学生全員が15の研究室すべての学びに触れることができるのも特長です。入学するまでの経験は問いません。やってみたいという気持ちと好奇心のある高校生に、ぜひ入学してほしいと願っています」。

スケッチするだけでぬいぐるみの型紙が完成

CGの新たな形として注目されているのが、医学や建築、アートなど、CGと異なる分野と融合させたツールだ。五十嵐先生自身が取り組んでいるのはCGと手芸の融合。オリジナルのぬいぐるみを作るためのツールづくりだ。

「『こんな形のぬいぐるみがほしい』と頭のなかでイメージするのは簡単ですが、それを実際につくるには「型紙」が必要です。通常、型紙はぬいぐるみ設計士さんが経験と勘を頼りに試行錯誤してつくるもの。これを素人でも簡単にできるように支援するツールができないかと考えました」と五十嵐先生。自分の作りたいぬいぐるみを手描きでスケッチするだけで、型紙とその型紙を縫い合わせたときの3次元モデルが自動的に表示されるシステムを開発した。特徴は、モデリング(形作り)とシミュレーションを同時に行うことのできる「インタラクティブシステム(利用者とコンピュータが双方向のやりとりで操作するシステム)」を取り入れたこと。「表示された三次元モデルを見て、もっとこうしたいと思ったら、スケッチを手直しするだけで同時に型紙も更新されます」。また、日本科学未来館など各所でワークショップを展開しており、小中学生の子どもたちに手芸とCGの融合を楽しんでもらっている。

「これまで製造分野などでモデリングとシミュレーションは別々に行われていました。これを並行してできるインタラクティブシステムが普及したのは、コンピュータのメモリが大容量化し、処理速度も速くなったから。コンピュータの発達は、コンピュータの使い方も変えていくのです」と五十嵐先生。「ITの分野では、研究者は20年後を予測して研究開発を行っています。コンピュータの未来をつくるのは、いまの中高生世代。本学科で学ぶことのできる知識・技能をベースに、アイデアや発想力、センスを生かした新しいツールをぜひ生み出してください」。

先輩に聞く

先端メディアサイエンス学科4年 池田優希さん

(茨城県立竹園高等学校出身)

 

  ITやCGに興味があって入学しましたが、プログラミングの知識はゼロ。入学当初は正直大変でしたが、みんなで教え合いながら勉強したことが今ではよい思い出になっています。現在は、ポーチの型紙ができるツールを開発しています。あらかじめ用意した3種類から好きな形を選び、縦横の大きさを設定すると、3DCGと型紙が自動的に表示されるというもの。必要なファスナーの長さなども計算してくれます。2020年に小学校でプログラミング教育が必修化されるにあたり、各教科でコンピュータを取り入れた授業を実践する準備が始まっていることを知り、家庭科に自分だけのオリジナルポーチを作る学びを導入できたらいいのではないかと考えました。難しいのは、他人が使いやすいと感じるシステムにすること。家族や友だちに使ってもらったり、週に1回のゼミ発表で意見をもらったりすることで、客観的な視点を持つように心掛けています。昨年の12月にはWISSという学会で発表し、好感触を得ることができました。そのときいただいたコメントをもとにブラッシュアップし、さらに上のランクでの発表を目指したいと思います。卒業後は大学院に進学予定。現在開発中のツールを、小中学校の教育現場で実際に使ってもらうことを目標としています。

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