石黒浩教授(大阪大学)らの研究チームは、人間と共生できる対話機能を持った自律型ロボットの実現を目指している。7月31日、日本科学未来館(東京)で最新の研究成果を発表した。人に寄り添うことができるロボットの特徴は何なのか? 人型ロボットの最前線を取材した。 (野村麻里子)

ibukiのようなロボットは世界で類を見ないという

人と深い関係を築く

「ibuki」は、身長120センチの子ども型アンドロイドで、細やかな表情で対話するのみならず、人と一緒に行動することができる。車輪移動でありながら、人間と似た歩行中の動きが可能。車いすが通れる道は、ほぼ進める。5本の指は全てバラバラに動かせ、手のジェスチャーなど多彩な身体表現もできるのが特徴だ。

人と一緒に散歩したり、道案内をしてくれたり。活躍の場は、オフィスビルなどでの案内や説明、見守りや付き添いなどを検討しているという。人の生活に寄り添い、経験を共有することで、人とより深い関係を築くことが可能になるのでは、と期待されている。

顔と手以外はあえてロボットらしく 石黒浩教授

「ibuki」は、顔と手以外はあえてロボットらしくしています。(現段階では)二足歩行ではなく車輪で動くためです。中途半端に人間らしい姿にすると、人は「不気味」と感じます。明らかにロボットだと分かるけれども、手や表情からは人間らしさが感じられるようになっています。

【高校生記者も取材】
 

人と区別つかない未来が来る?

 「ibuki」の顔の完成度の高さに驚きました。いつかは人間とロボットの区別がつかない日が来るのではないのかと思います。近年、ロボットの開発が急速に進展しているので、人間の感情と言葉を理解できるロボットが開発されるのは、そう遠くない未来なのではと思いました。 ( 高校生記者・朴玄珍)