学校生活の中で感じるさまざまな不安にどう対処すればいいんだろう。人形町メンタルクリニック(東京)院長の勝久寿先生に聞いた。(山口佳子)

Q.人と話すのが怖いです。変なことを言って浮かないか、いじめられないか、考え出すときりがなくてつらいです。

A.「相手が正しい、自分は間違っている」と思い込んでいるのかも。

初めて会った人と話すのは、誰でも緊張することですよね。初めて出向く場所では、大勢の人とうまくやろうとするのではなく、気の合いそうな人をひとり見つけて話しかけてみるのがおすすめです。

仲の良いグループの中にいても、時々不安になることもあるかもしれません。とてもつらい場合には、グループの中で無理に話そうとするのではなく、自分の気の合いそうな人を探して声をかけてみましょう。この時、同じグループ内の人だけに固執せず、いろいろな人に目を向けてみることが大切です。

みんなと仲良くしなくて良い

こういう悩みを持つ人たちは、みんなと仲良くしなければいけないと思い込んでいる場合が多いです。世の中にはいろいろな人がいて、全員から好かれることは難しいのが現実だということを、少しずつでも理解できるようになるといいと思います。

また、相手の言っていることが正しくて、自分の考えは間違っていると思い込み、相手の意見を黙って聞くだけになっていないでしょうか。100人いれば、百通りの考え方があるのは当然。お友達の意見と違う意見を持つことは、決して相手を否定しているわけではありません。人と人との会話は、どちらが上でどちらが下ということはなく、対等です。あなたの考えはよくわかった、でも私はこう思うよ、と対等に自分の意見を言う訓練を少しずつ積み重ねることが、「人と話すのが怖い」という不安を乗り越えていく手助けになります。

 
勝久寿先生
(人形町メンタルクリニック院長)
かつ・ひさとし 精神科専門医。著書に「『いつもの不安』を解消するためのお守りノート」(永岡書店)。