昨年度はインターハイと全国選抜大会で準優勝と、高校男子ホッケー界で存在感を示した今市(栃木)。当時のレギュラーが多く残る今年度は、持ち前の高い技術力に加え、メンタル面も例年以上に強化してきた。いよいよ始まるインターハイは、国体、選抜大会の制覇も目指して掲げた目標「高校3冠」への第一歩になる。(文・写真 小野哲史)

プレー面でも精神面でもチームの大黒柱として君臨する主将の松本和将(6月9日の関東高校大会)

日本代表トリオが軸

6月9、10日、東京で行われた関東大会。初日の第1試合で東海(茨城)に勝利し、5年連続30回目のインターハイ出場を決めた今市だったが、試合後の選手に笑顔はなかった。「もっとあるはずの攻撃力を出せなかった」(福田敏監督)からだ。

主将の松本和将(3年)も、3対0の完勝に安堵するよりも、まず反省点を口にした。「点数をもっと取りたかったし、メンタル面の課題が出てしまった」。それでも翌日にはしっかりと気持ちを切り替え、準決勝で飯能南(埼玉)を7対0で撃破。悪天候により決勝は中止され、山梨学院(山梨)との両校優勝ながらも、大会2連覇を飾った。

今年度のチームは、主将のMF松本やDF小林弘人、GK福田匠(ともに3年)のU18日本代表トリオが軸となる。福田監督が「キープ力があって、精神的な支柱でもある」と高く評価する松本は、自身が武器と話す「速いドリブルで相手を抜き去ってチャンスをつくるプレー」が持ち味。6月の関東高校大会ではゲームメークのみならず、自ら敵陣深くまで攻め込んで鮮やかにゴールを決める場面もあった。

攻撃だけでなく、小林や福田を中心とした守備も堅く、チームは3月の県高校新人大会から関東大会まで無失点試合を継続中。松本は小林を「守備がうまいのはもちろん、機を見て積極的に攻撃参加をしてくれる」と信頼を寄せている。小林は、相手の反則などで得たペナルティーコーナー時に、シュート役を担うことも多い。他にも、FW柴田光市(3年)やMF和田公志(2年)ら、攻守に隙のないメンバーをそろえ、タレントは豊富だ。

メンタル面も強化

昨年度はインターハイと選抜大会で、全国制覇にあと一歩届かなかったが、松本は「技術は『全国でも1番』と言えるくらい自信がある」と、優勝校にも決して引けを取らなかったと感じている。「差があったとすれば、大事なところで勝てないメンタルの弱さ。それを克服するために、今年度からは不定期で、大学の先生からメンタルトレーニングのレクチャーを受けています。今回のインターハイは無失点で優勝したい」

関東大会で優勝するなど、徐々にその成果を見せつつある今市。初出場から47年連続出場を決めた同校ホッケー部女子とともに、男子は1987年以来31年ぶりとなる夏の王者を目指す。

【チームデータ】
 1971年から活動を始め、74年に正式に創部。部員28人(3年生8人、2年生12人、1年生8人)。全国大会優勝は過去9回(インターハイ4回、選抜大会と国体は各2回、チャンピオンズカップ1回)。スローガンは「真摯(しんし) 闘魂」。
今市高校ホッケー部。全国でもトップレベルの高い技術力で昨年度あと一歩で届かなかった優勝を目指す