優秀賞

みんなが笑顔になるために

兵庫県立北須磨高等学校2年 萬谷美里

 

私には世界を平和にするという夢があります。世界を平和にするためには、小さな平和の積み重ねが必要です。とても難しいことですが、自分の周りから笑顔の連鎖をつなげていけば必ず世界は平和になると信じています。

世界には貧困や飢餓、紛争、病気などに苦しみ、笑顔でいられない人たちがたくさんいます。人々が自分の力で問題を解決し笑顔になるためには教育が必要です。例えば、教育を受けていない母親の子供は小学校に通った母親の子供に比べて、栄養失調や5歳未満で死亡する割合が2倍になると推定されています。また、親が教育を受ければその子供が学校に通う率が高くなり、世代を越えた貧困を終わらせることにつながるそうです。

私はこの夏、7週間アフリカのタンザニアに行き、マサイ族村落の学校で勉強を教えたり、子供達と遊んだりしました。みんなが楽しいと思える授業がしたいと思い、毎日フラフラになりながら準備をし、精一杯の授業をする努力をしました。例えば、3+4を教える時には、子供達に黒板に3つと4つの丸を書いて数えてもらうなど子供達に分かり易い工夫をしました。子供達はみんな勢いよく手を挙げて、「Teacher!Me!」とアピールし、そしてみんなで窓が割れそうなほどの大声を出して合計を数えました。みんなが楽しそうに勉強している姿を見て、今度は私がもっと楽しい授業がしたいと思う良い循環となり、私も子供達以上に楽しんでいました。

一方で、心に強く残った出来事があります。モセという頭の良い子とごく普通の男の子が喧嘩をした時、先生が「モセはいつも英語を話そうと頑張ってるから、あなたよりモセの方が良い子なんだよ」と。これは衝撃的でした。その時のもう一方の子の悲しい顔を見て、私の心がキュッと締め付けられました。私は小さい頃から不器用で、普通に出来ることなのに出来ないことがあります。先生に振り向かれないことも多く、人間不信になったこともあります。だから私と同じ不器用な子供達には私のように苦しまないでほしい、そう思うと余計悲しくなりました。しかし、不器用な子の気持ちは私だからこそ分かるのではないか、自分の弱みが子供達の悲しい気持ちを理解することに生かせるのではないかと気付きました。

ある日、移動中の車の中で外から子供達の視線を感じたので、車から降りてジュースを一人の子にあげました。するとその子はとても嬉しそうに「ありがとう!」と言いましたが、その子は自分では飲まず、背負っている小さな子にジュースを飲ませてあげたのです。自分より相手のことを思いやるのが当たり前に出来る純粋な心を持っている子供達に心を打たれました。同じことが出来るかと問われると「はい」と言えない自分が情けなくなりました。実はタンザニアに行く前は、何を支援してあげようか、何を教えてあげようかとばかり考えていましたが、この経験から私は「私よりあなた」の心を教わりました。私より子供達の方が大切なことを良く知っていると感じ、子供達から多くのことを学びました。

学ぶ環境が整っていない途上国の子供達が学ぶことの楽しさを知り、思いやりの心に加えて、物事を自分で判断できる知識を身に付け、笑顔でいることが出来れば、小さな平和をつくることが出来ると思います。私はこの経験から、国際貢献を志していく上で、一方的に支援をするだけではなく、途上国の良い点をたくさん吸収できる、Give&Takeの関係を築くことが大切だと感じました。また、子供達が楽しそうに勉強している姿を見て、楽しく勉強することが小さな平和につながっていることを確信しました。私はもっと多くのアフリカの子供達に、学ぶ楽しさを感じてもらえる授業が出来るように、教育を学び、またアフリカに戻りたいです。そして将来、小さな平和に結びつく子供達の笑顔を増やすために、途上国の教育に携わりたいです。

 

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