世界中の人やモノ、お金がさまざまな形でつながっている現代社会において、世界の動きは、私たちの生活に大きな影響を及ぼしている。

一般の人々が海外の人と直接コミュニケーションをとる場面も日常的に見られるようになった。観光業や小売業の一部は訪日外国人によって支えられているし、メーカーなどの大手企業は工場などを海外に置き、世界的な規模で事業展開を図っている。上司や同僚、部下が外国人というケースは、今後ますます“当たり前のこと”になるだろう。

政治や経済だけではない。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を機に、社会や文化のあらゆる分野において、国際化はさらに加速していくだろう。

例えば、小学校英語。現在は外国語活動として小学5・6年生が英語を学んでいるが、2020年以降は、英語を小学3・4年生から外国語授業として、小学5・6年生からは教科として学ぶことが決まっている。「世界で活躍したい」という意思の有無にかかわらず、私たちはすでに「世界」の真っただ中にいるのだ。

こうしたなか、大学では社会で求められる「グローバル人材」の育成を目的とした学部・学科の新設、カリキュラム再編、新プロジェクトの立ち上げなどが相次いでいる。そこには一体、どのような学びが用意されているのだろうか。

グローバル人材であることの前提となるのは、語学力を身につけていることだ。英語をはじめとする外国語を学ぶ学部・学科では、高いレベルの外国語運用能力の養成を目的に、ビジネスなどでも活用できる実践的な授業を展開。同時に諸外国の政治経済・文化などに関する深い理解と、広い視野を育てている。こうした学部・学科では、通訳や翻訳者など、高度な外国語運用能力を直接的に生かせる職業を目指す道も開ける。

一方、さまざまな国際問題を解決するためのアプローチを考えるのが国際系の学部・学科だ。語学力はもちろん、諸外国の政治経済・文化を理解し、国際的な視点と問題解決能力を身につけるカリキュラムが中心になっている。

さらに最近では、政治・法律・経済・地理・歴史・文化などの専門科目を英語(外国語)で学ぶカリキュラムを用意する大学も増えてきた。「英語(外国語)はツールである」という考え方は、今後のグローバル教育における主流になっていきそうだ。「英語(外国語)で何を学びたいか」、皆さんもをぜひ一度考えてみてほしい。

高校時代にできることは?

外国語・国際系の学部・学科で学びたいと考えている高校生は、一度各大学の留学制度について調べてみよう。短期の語学研修やインターンシップ、1年間の交換留学など、大学によってさまざまなプログラムが用意されている。成績次第で経済的な負担を小さくできる場合もあるので、今から備えておくといいだろう。

一方、留学生と日常生活のなかで交流できるラウンジや、日本人学生と留学生が一緒に暮らす寮の設置など、大学自体の国際化も進んでいる。なかには海外からの留学生との恊働により、英語運用能力の向上や異文化理解を促すプログラムもある。比較・検討して志望校選びの参考にしてほしい。

大学の研究室をのぞいてみよう!

これらのことが学べる大学の研究室を取材した。大学や学部によって学べる内容が違うので、自分が学びたい分野は何かをしっかりと見極めたうえで大学・学部の選択を行おう!

立教大学経営学部国際経営学科 松本茂教授、ダグラス・シュールズ准教授

関西外国語大学 スティーブン・ザーカー教授

東京外国語大学国際日本学部(設置申請中) 早津惠美子教授