6月6日、教育協力NGOネットワークが企画する「国会議員のための世界一大きな授業」に、先生役として参加した。(高校生記者・明畠加苗3年)

中高生8人で4月から準備

「世界一大きな授業」は、世界の教育の現状を学んで教育の大切さを考えることを目指して、世界100か国以上で同時期に行われる。その一環として、私たち中高生8人が「先生」になり、「生徒」である国会議員24人に授業をした。

4月から授業の準備を始めた。住んでいる場所も学校もさまざまな8人が1つの授業を作り上げるのは、思いのほか大変だった。NGOにもアドバイスをいただきながら、何度も話し合い、直前まで原稿やスライドなどの改良を重ねた。

字が読めないとどうなる? 

授業の冒頭で、教育の重要性を伝えた。アラビア語で書かれた教科書を元に飲み物を選んで実際に飲むことで、字が読めないとどうなるのかを体験してもらった。

次に、リボンやグラフを使って、日本のGPE(教育のためのグローバル・パートナーシップ)基金への拠出額の少なさを実感してもらった。GPE基金とは、開発途上国における基礎教育を支援する国際的な支援の枠組みである。この基金では、支援を本当に必要としている低所得国や紛争下の国で、女子や障害のある子どもを含めた全員に質の高い教育を提供するための支援を届けることを目指している。しかし、日本が2003年からの15年間でGPE基金に拠出した金額は世界全体の0.5%にすぎず、他の先進国と比べて少ない。

「目に見えない」支援も大事

最後に、政策提言を行った。私たちが提言した政策は「目に見えない支援も!」。橋や学校などの建設といった支援は、日本が行ったということが形になって見える。これが「目に見える」支援だ。一方で、教育の質を高めるために必要なこと、例えば教師の育成は、日本が支援をしたことがはっきりわからない「目に見えない」支援だ。しかし、それこそが本当に必要な支援だと私たちは考えた。「目に見える」支援だけではなく、「目に見えない」支援にも力を注いでほしいというメッセージを伝え、そのための方法の1つとしてGPE基金を提案した。

国会議員に直接伝えられた

私は学校の探究活動で発展途上国の教育について取り組んでおり、世界の現状について知っているつもりだったが、授業準備の際に新しく得た知識も多くあり、勉強になった。また、自分にできることがあまりにも小さいのを歯がゆく思っていた中で、国の政策を決める立場にいる国会議員に直接働きかけることができたのは大きな収穫だった。国会議員からは、「顔の見える援助だけでなく、目に見えない支援も大切だと分かった」「国会議員として発信をしていきたい」「超党派で取り組んでいきたい」といった感想をいただいた。

「国会議員のための世界一大きな授業」は、2010年から毎年行われている。先生役となる中高生は、例年3月から4月頃に募集される。国会議員に自分たちの思いを伝えるめったにないチャンスだ。高校1・2年の皆さんは、ぜひ来年先生役に応募してみてはいかがだろうか。

授業中の様子(教育協力NGOネットワーク提供)

授業の様子は、YouTubeで見ることができる。