「2時間しか寝ていないけれど、慣れれば平気」。そう言う人が時々いますが、医学的に問題ないのでしょうか? 睡眠科学の第一人者・櫻井武先生(筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構)に聞きました。(青木美帆)

必要睡眠量は訓練して短くできない

一日に必要な睡眠量というのは、人によってかなり異なります。高校生年代だとだいたい8時間から9時間。まれにそれが3時間とか4時間などという人もいますが、本当に短時間で大丈夫な人は非常に少数です。「ほとんど寝なくても大丈夫」という人は、嘘をついているか……どこかで居眠りをしていると思いますよ。また、必要睡眠量は遺伝によって決まっているので、訓練して短くできるようなものではありません。

相対性理論を発見したアルバート・アインシュタインは、一日11時間以上寝ていたそうです。睡眠が短いことを自慢しているような人は、時間の使い方が下手だと言っているようなもの。みなさんも睡眠を削ること以外で時間を作るようにしましょう。

さくらい・たけし

筑波大学医学医療系教授。筑波大学大学院医学研究科修了。睡眠を含む脳の機能やメカニズムを解き明かしている。

櫻井武先生