玉造工業高校(茨城)の電気科は、座学や実習で電気工学を学びながら、電気工事士などの資格取得を目指す。そこからさらに高度な技術や技能を磨き、競技大会に挑んでいるのが工業研究部だ。(文・写真 小野哲史)

自身の武器を「(難易度の高い)金属管加工をスムーズにできる点」と話す一本嶋君

判断力・創造性も必要

歴代の部員たちは、これまで何度も全国の舞台で優勝を手にしてきた。部の大きな目標は、都道府県大会、地方大会を経て、秋の全国大会へとつながる「高校生ものづくりコンテスト」。電気工事部門は制限時間の中で、垂直に立てた畳2畳ほどのパネル上に、施工図通りの電気配線工事を行い、正確さや見栄えを減点方式で競う。

駒場智子先生は「きちょうめん・丁寧だけでは駄目。どうすれば効率よく動けるかを瞬時に判断する力や、時に用具を大胆に使う創造性や発想の豊かさも求められる」と説明する。

持ち前の手先の器用さを生かし、配線を仕上げていく新𣘺君

「1秒でも早く」練習重ねる

部は大会まで、日々ひたすら実践練習を重ねる。新𣘺(にっぱし)翼君(3年)は「毎回、イメージトレーニングで自分の無駄な動きを削って、実際に配線を作るときは1秒でも早くできるように意識している」と話す。昨年、先輩が出場した全国大会に同行し、「大きい会場に圧倒されて、大会自体も緊張感があった。次は自分も」との思いが芽生えたという。

中学までバレーボールに励んでいた一本嶋優君(3年)は「大会で行うような作業は体を動かす楽しさがあって、上の大会を目指していく点もスポーツに似ている」と感じている。昨年は2年生ながら関東大会を勝ち抜き、全国大会に出場。賞には届かなかったものの「普段の練習より良い作業ができ、最高の作品に仕上げられた」と、持てる力を十分に発揮した。

和気あいあいとした雰囲気の中でも、技術力や競技への姿勢は代々、着実に受け継がれている工業研究部

先輩を見習う後輩たち

部が大会で好成績を収め続けてきた背景には、積み重ねた練習量と「上級生の技術や作業に挑む姿勢が代々、下級生に引き継がれる」(田村剛先生)という気風があるから。取材日も、新𣘺君と一本嶋君の作業を食い入るように見つめる後輩たちの姿があった。

(高校生新聞2018年6月増刊「工業高校特集」より)