高校最後のウインターカップで桜花学園に挑んだ(2008年、写真提供・日本バスケットボール協会)

バスケットボール女子日本代表の間宮佑圭(東京・東京成徳大高卒、JX-ENEOS)。日本代表のインサイドを一手に担う頼もしい存在だ。高校時代は、常に目の前に立ちはだかったライバル校の桜花学園(愛知)に、果敢に挑み続けた。 (青木美帆)

思い出したくない試合

30回以上の全国優勝を誇る高校女子バスケ界の名門・桜花学園。間宮が在籍していた東京成徳大高は当時、唯一の対抗馬として注目を集めていた。
 間宮が主将に就任した3年時の全国高校総体(インターハイ)の決勝の相手は、当然ながら桜花学園。一時は22点をリードしたにもかかわらず、終盤に一気にひっくり返され、最後は1ゴール差で敗北した。「(今回の取材を受けるまで)記憶を消し去っていた。人生で一番思い出したくない試合」。いまだに表情がかすかに曇る。

下だけは向きたくない

高校最後の大会となった全国高校選抜優勝大会(ウインターカップ)も、決勝で桜花学園に敗れた。しかし、その感情は意外にも晴れやかなものだったという。

最終クオーター、「もう追いつけない」と踏ん切りをつけた間宮は、気持ちを整理した。「集大成のゲームを『悔しい』と下を向いたままで終えるのは嫌だった。仲間や先生、両親に『ありがとう』という気持ちを込めて、試合を楽しみたかったんです」。そして笑った。自身のプレーを、チームメートの好プレーを全力の笑顔で大きく包み込んだ。

百パーセントの力を発揮してもかなわなかった。桜花学園はそれだけ強く、素晴らしいチームだと認めることができた。だからこそ「自分たちは精いっぱい頑張った」と胸を張れた。

所属チームで練習に励む間宮佑圭(青木撮影)

桜花のおかげで今がある

ライバル校と切磋琢磨(せっさたくま)した日々を、こう振り返る。
 「桜花のように自分たちより大きくてうまいチームと戦える機会はそれほど多くありません。桜花と何度も大一番を戦ったことで、大舞台で力を発揮することが難しくなくなったように感じます」
 事実、高校卒業後の間宮の活躍は目覚ましい。昨年11月のアジア選手権では大会ベスト5に選ばれ、今年4月のWリーグプレーオフでも初のプレーオフMVPに輝いている。
 高校3年間で単独チームとして参加した全6大会のうち、間宮は実に5回桜花学園と戦い、その全てに敗れた。目に見える壁は越えられなかったかもしれない。しかしあの時、夢中で壁を登ったからこそ、今の彼女が存在している。

高校生新聞オンライン 特別インタビュー 

クラスメートに助けられた

高校の部活は本当にきつかったですけど、それ以上に学校生活がすごく楽しかったですね。
中学の練習もとてもきつくて、午後になって練習の時間が近づいてくると『あぁ、もう部活が始まる……』と脅えてしまうくらいでした。部活と学校生活の切り替えがうまくできなかったんでしょうね。
 でも高校では自分の中に余裕が生まれて、部活も学校生活も本当に楽しかった。クラスで毎日ゲラゲラ馬鹿みたいに笑えたから、部活のきつい時間を乗り越えられてきたのかもしれません。
 バスケ部ではない友達からは「もっと相談してよ。あんなに厳しい部活にいるんだから、本当はもっと言いたいことあるでしょ?」って心配されていたんですけど、「あなたたちといる時間は私にとっての充電時間だから、バスケの話はしない!」とよく言っていました。バスケから離れて笑っていることで助けられたんです。
 思い起こすと楽しい思い出ばかりです。例えば、クラスメートみんなで「NARUTO」(岸本斉史/集英社)にハマって、ひたすら紙の手裏剣を作って職員室を襲撃したりしました(笑)。
 私、職員室が大好きな場所だったんです。先生たちもすごく好きで、常におしゃべりしに行きたいくらい。しまいには私が先生を呼んでも「またお前か」と出てきてくれなくなりました(笑)。
 先生たちとは今でも連絡を取るし食事にも行きます。恵まれた環境で育ったなと思いますね。

つらい時は笑って!

悩んだり苦しい時には音楽を聴きます。JXに入団してから、本当に落ち込んだ時はRIP SLYME with MONGOL800の「Remember」を聴いています。聴いて、「よし、頑張ろう!」と気持ちを入れます。
 高校時代はつらいことも多いと思いますが、やっぱり笑うことが大切だと思います。つらいことも忘れられてすごくスッキリするし、同時に『一緒に笑ってくれる人がいるんだ』っていうことを実感できて自分の活力にもなりますから。
 悩みやつらい事ばかりを考えずに、学生生活を楽しんでほしい。制服を着る生活って高校までだと思うので、大事に過ごしてほしいなと思います。

まみや・ゆか  1990 年4月3日生まれ。東京成徳大高を経て2009年JX-ENEOS サンフラワーズに入団。11年と13年のアジア選手権、12年ロンドン五輪世界最終予選に出場。日本屈指のパワーフォワード。184センチ。

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