将来はベンチャー起業家になりたいという上川君(JSEC事務局提供)

流星について研究している金光学園高校(岡山)の上川滉太君(3年)は、昨年夏に出現したペルセウス座流星群を分析し、平均速度や光り始めの位置を明らかにした。

小学生の頃から天文好き

小学4年生のとき、皆既日食を見て感動したのをきっかけに天文に興味を持ち、高校では天文部に入部。SSH(スーパーサイエンスハイスクール)だったため、授業でゼミ活動ができる。「天文学というと難しそうですが、流星は肉眼で見ることができる身近な存在。そこに魅力を感じて研究テーマに選びました」

流星とは、宇宙のチリの粒が地球に飛び込んできた際、大気中の分子と摩擦を起こし、熱を持って発光する現象のことだ。上川君は流星の経路と、光る位置を明らかにしようと考え、昨夏の「ペルセウス座流星群」を研究対象とした。「数年前に卒業した先輩の研究論文を参考に、観測地点を増やして精度を高めたいと考えました」

14時間の動画を解析

まずは国立天文台岡山天体物理観測所など県内の3施設に、一眼レフカメラとビデオカメラによる流星の撮影を頼んだ。次に提供を受けた約14時間分の動画から443個の流星をペルセウス座流星群と分類。このうち28個の流星について、複数の地点から撮影した静止画から解析した。

三次元での詳細な経路をはじめ、光り始めの位置が高度100㌔付近であること、再度動画を見て平均速度が毎秒57㌔であることを割り出した。「1個あたり1時間以上かかる解析を、ミスのないよう丁寧に行わなければならないのが大変でした」

5月に米国で発表

ショックだったのは、解析結果が仮説と異なっていたことだ。「明るい流星ほど光り始めの位置が高く、消える位置が低いと考えていましたが、実際にはほぼ一定だった。最初は解析結果の方を疑いましたが、そのうち新しい仮説を見つけていくこと自体が面白いと感じるようになりました」

この研究は高校生の科学研究のコンテスト「第15回高校生科学技術チャレンジ(JSEC2017)」で文部科学大臣賞を受賞。5月、米国で行われる国際大会に出場する。 (野口涼)