高校入学や進級で新しいクラスになったり、部活や委員会などで新しいメンバーとの出会いがあったり、春や新学期は初対面の人と話す機会が増える季節だ。何を心掛ければ、初めて会った人との会話が弾み、仲良くなれるのだろうか。プロのインタビュアーとして活躍する佐藤智子さんに、初めて会った人と打ち解けるための会話術についてアドバイスしてもらった。 (安永美穂)

 
佐藤智子さん
さとう・ともこ プロインタビュアー、編集者、インタビューコーチ。女性誌の編集部に在籍していたころから20年以上にわたり、1万人を超す著名人へのインタビュー実績を誇る。

話し掛けてもらえる工夫を

――初めて会う人に良い印象を持ってもらうには?

初対面の人と話すのが苦手な人は、無理に自分から話し掛けようとしなくても大丈夫です。まずは、周囲の人に「話し掛けやすい」と思ってもらえる雰囲気づくりを心掛けましょう。

――具体的には、何から始めればいいのでしょうか?

真顔だと「怖そう」、下を向いていると「暗そう」という印象になりやすいので、笑顔で接することから始めましょう。家で話すときに鏡を見たり、家族に写真を撮ってもらっ
たりして、自分がどんな顔で話しているかをチェックするといいですよ。普段から家族に笑顔で接する練習をしておくのもお勧めです。

――話し掛けてもらえるように工夫できることは?

持ち物で自分の個性をアピールすることも大切です。好きなキャラクターや自分が得意な話題にまつわるグッズを持っていると、「これ、私も好き!」「どうしてこれを選んだの?」と声を掛けてもらえることも。入学やクラス替えは自分のキャラを変えられるチャンスなので、地味な印象を変えたいなら明るいイメージのグッズを持つというように、見られたいイメージに合わせて持ち物を変えてみましょう。

共通点を見つけて盛り上がる

――会話をするときは、どんな話題から始めればいいですか?

「共感」から始めるのがコツです。いきなり「どこから来たの?」「何が好き?」と質問攻めにされると、誰でも身構えてしまいますよね。でも、入学式で並んでいるときに「緊張するね」「この学校って広いから移動が大変だね」と声を掛けるなど、相手も同じ体験をしていることについて話すと仲間意識が生まれ、その後の会話が弾みやすくなります。

――何を話したらいいか分からないときは、どうすればいい?

相手のことをよく観察し、自分との共通点を探しましょう。相手の持ち物を見て、「自分もその色やキャラが好き」と伝えることなら、それほど難しくはないですよね。誕生月、きょうだいの人数、中学時代の部活、学校に来るまでの交通手段など、どんなことでもいいので、相手の話の中で自分との共通点を見つけたら「同じだよ!」と伝えてみましょう。お互いに親近感が湧くはずです。

――会話が上手になるように、できることはありますか?

どんな人にも長所や得意なことがあるので、そこを褒めるつもりで声を掛けてみてください。誰もが何かの専門家なので、相手の得意なことを知ろうとすれば、無理に自分が話
さなくても会話を楽しめるようになりますよ。

――話を聞くときのコツは?

会話で最も大切なのは「リアクション」です。人は、自分を認めてくれる人のことを好きになるもの。話を聞くときは、相手の目を見てうなずいたり、「分かる!」「なるほど」「そうなんだ」といったリアクションをしたりして、「あなたの話をちゃんと受け止めていますよ」ということを伝えていきましょう。