日産自動車、SUBARU(スバル)の新車検査問題、神戸製鋼所のデータ改ざん問題と、日本の代表的なメーカーで不祥事が今年相次いで発覚、高品質を世界に誇った「メード・イン・ジャパン」の信頼性が根底から揺らいでいる。

日産・SUBARUは無資格検査

日産自動車は、新車を工場から出荷する前の最終検査を、国の規定に反して無資格の従業員にやらせていた。国土交通省の立ち入り検査で発覚して公表したが、その後も無資格検査が続いていたことが判明。販売済みの車は再検査が必要になり、国交省に約120万台のリコール(無料の回収・修理)を届け出た。SUBARUも無資格検査をしていたと公表した。

神戸製鋼はデータ改ざん

神戸製鋼所は、製品の検査データを書き換え、取引先と決めた性能を満たさない製品を納入していた。アルミニウム製品や銅製品のデータ改ざんを公表して以降、特殊鋼や液晶画面材料などでも次々と不正が明らかになり、その後、日本工業規格(JIS)違反も分かった。これらの製品は国内外の航空機や鉄道、自動車などにも使われており、米航空機大手ボーイングなど海外メーカーや米司法省も調査に乗り出している。

世界を席巻していたが…

国際競争の激化する中で、製造現場が目標を達成するために効率化を優先し、品質保持や安全検査を怠ったとの指摘もある。しかし、コンプライアンス(法令順守)は企業にとって最低限の義務だ。いずれも放置した組織のお粗末さが問われ、組織ぐるみの違法行為との批判は免れないだろう。

英BBC放送は「日本株式会社で何が起きているのか」と題し、安易なコストカットで日本のものづくりの信頼性が揺らいでいると報じている。タカタの欠陥エアバッグ、東洋ゴム工業の免震装置ゴムや三菱自動車の燃費データ改ざん問題もあった。かつて世界を席巻した日本の製造業だが、病根は深そうだ。

【日産自動車】
横浜市に本社を置く大手自動車メーカー。連合を組むフランスのルノーと三菱自動車を合わせた2017年上半期の販売は526万台で、初の世界首位に。
【SUBARU(スバル)】
国内4位の自動車メーカー。旧日本軍の戦闘機を生産した中島飛行機が前身で富士重工業から改名。代表車種は「インプレッサ」など。
【神戸製鋼所】
1905年創業。国内鉄鋼大手3社の一つ。アルミニウムや銅などの非鉄金属、産業機械、電力事業を手掛ける複合経営を特徴とする。