定期テストでは良い点が取れても、模試や実力テストなど応用問題が出題される試験では点が取れない……。そんなお悩みを抱えている人も多いのでは? 今月は、数学の応用問題対策のポイントを、駿台予備学校で多くの受験生を合格へと導いてきた若月一模先生に教えてもらった。(構成・安永美穂)

今回のお悩み

 
数学の基本問題は解けるのに、
応用問題になると分かりません…。
「なぜこの解き方か」を理解しよう
 

若月一模先生

理由は3つ、君はどれ?

基本問題は解けるのに応用問題が解けないという人は、習熟度により大きく3つの段階に分けることができる。第1段階は「基本問題の解き方を覚えているだけで、なぜそうなるのかを理解できていない」という人。第2段階は「なぜそうなるのかは理解できていても、教科書内容の理解が不十分」という人。そして、第3段階は「教科書の内容は理解しているものの、応用問題を解く訓練が不足している」という人だ。

模試などで大問の中の(1)の問題は解けても(2)以降になると解けなくなる場合は、解き方や公式の意味をよく理解できていない第1段階に当たる可能性が高い。自分がどの段階に当てはまるのかを見極めて、それぞれの段階に応じた対策をしていこう。

教科書を大事にしよう

第1段階と第2段階の人は、まずは教科書の例題を何も見ずに解けるようにして、学校で配られている問題集にも取り組もう。

このとき、第1段階の人が注意したいのは「こういう問題にはこの公式を使えばいい」と、解き方のパターンを覚えるだけで理解したつもりにならないこと。「なぜこの解き方で解けるのか」を理解しておくことが大切だ。そのためには、教科書の数式だけに着目するのではなく、文章の部分にもしっかり目を通し、その内容を確実に理解することを心がけよう。

授業を受けるときも、ただ板書をノートに書き写すのではなく、「なぜそうなるのか」を意識しながら先生の話をよく聞くことが重要だ。先生が板書せずに口頭で言ったことも必要に応じてメモを取り、分からないことがあれば後で質問しよう。

第2段階の人は、講義ノートの内容や問題集の解答解説を「なぜ?」という視点を持って見直し、うまく説明できない部分があれば、教科書などで確認しておこう。「自分はどこが分かっていないのか」を分かるようにすることも、数学の学習ではとても大事なことだ。

手を動かせば成績アップ

第3段階の人は、基本問題が中心となる定期テスト対策とは別に、応用問題の演習にもどんどん取り組もう。解くときは、実際に手を動かして答案を書くようにすると、より効果的である。

解けなかった場合は、解答解説を読んで「なぜこの解き方が思い浮かばなかったのか」を考え、「次に同じような問題を解くときは、どのように対処すればよいか」を整理しておこう。そして、その後にもう一度、何も見ずに解いてみること。そのときに手が止まってしまうことがあれば、その部分が君にとって大事なことなので、教科書や講義ノートなども参考にして、そこを重点的に復習すればいい。

数学の勉強はスポーツと似ている。毎日筋トレをしながら練習試合で実戦経験を積むことでスポーツが上達するのと同じように、基本問題を反復しながら応用問題にもチャレンジすることで数学の力を伸ばせる。日々の学習で基本問題にしっかり取り組んだ上で、応用問題に取り組む時間もつくるようにして、問題を解く訓練を重ねていこう。

 
【わかつき・かずのり】
東京都出身。東京都立大学(現・首都大学東京)大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了(理学博士)。教材作成や模擬試験の問題作成なども担当している。