「重力波」を初めて観測

物理学賞は、2つのブラックホールが合体して放出された「重力波」を世界で初めて観測した重力波望遠鏡「LIGO(ライゴ)」の生みの親である米国の3氏に授与される。アインシュタインは1916年に相対性理論に基づいて重力波の存在を予言、100年後の2016年に観測され大きな話題となった。ビッグバンで放出された重力波を捉えれば、宇宙誕生の謎にも迫ると期待されている。

アインシュタインの「宿題」解く

アインシュタインは、空間の形や時間の流れは不変ではなく、ゴムのように伸び縮みすると考えた。ブラックホールのような重い物体は存在するだけで空間をゆがめ、そのゆがみが波のように遠くに伝わるのが「重力波」だ。

重力波は全ての物を通り抜け、光の速さで伝わる。地球にはあらゆる方向から重力波が届いているが、空間のゆがみは水素の原子核の1000分の1といわれるほど小さい。観測は極めて難しいとされ、重力波の観測はアインシュタインの「最後の宿題」とされていた。

日本の観測装置も運転へ

重力波を捉えるため米国2カ所に建設された観測施設が「LIGO」だ。一辺が4キロある巨大なL字形をしていて、それぞれの方向にレーザー光を放射し、空間のゆがみによる波長の変化を調べる。

日本でも岐阜県飛騨市の地下に重力波望遠鏡「KAGRA(かぐら)」があり、本格運転を目指して整備が進む。欧州の「VIRGO(バーゴ)」も観測を開始、インドも建設する予定で国際的ネットワークの構築が進む。