新聞やニュース番組などで目にする内閣支持率や政党支持率、政策の賛否などの世論調査。実際にどうやって調査されているのだろうか。若者の声は反映されているのだろうか。朝日新聞で世論調査を担当する川本俊三さんに方法を聞いた。 (田崎陸)

 

調査対象は無作為に選ぶ

──そもそも、なぜ世論調査をするのですか。

第一に「読者に国民全体がどのような考えを持っているか伝えるため」です。また、世論調査の結果を政治家も見ています。政治家は世論を考慮して、政治をしなければいけません。世論調査を元に、政治が国民の意見をきちんと反映する方向に動いてほしいと思っています。

──世論調査の方法は?

内閣支持率などを調査する場合、基本的には電話です。コールセンターの調査員約60人がコンピューターで無作為(ランダム)に数字を組み合わせた番号に電話するため、電話帳に載っていない家庭や朝日新聞を読んでいない方にもかかります。

──固定電話だと、家にいることが多い主婦や年配の方ばかりが答えてしまいそうです。

そうならないように、電話に出た人にすぐ調査しません。まず世帯の人数を聞き、偏りが出ないように乱数表(出現の確率が同じになるように並べた表)に従って「年齢が上から○人目の人にお願いします」と対象者を決めます。

その対象者がその時は家にいなくても、一度決めた対象者を途中で変えません。その人が不在の場合は何度かかけ直します。

固定電話と携帯を併用

──携帯電話にはかけないのですか。

昨年から携帯電話にもかけるようにしました。固定電話を持っていない若い世代が多くなったためです。調査相手は固定電話と携帯電話の使用者で半々くらいです。

──毎回の回答人数は?

約2000人です。ただ、だいたい半数に断られるので、実際には約4000人に電話をかけています。

──たった2000人の調査で良いのですか。

統計学的には2000人あれば、分析に十分な程度の誤差に収まるとされています。誤差をさらに半分にするためには4倍のサンプルが必要になり、調査費用が膨大になります。また、朝日新聞では回答者の偏りが出ないように、性別・年齢など有権者の構成比に合わせて重み付けして集計しています。

質問の文面は慎重に

──質問をする際、気を付けていることはありますか?

内閣支持率を聞く際「あなたは○○内閣を支持しますか、支持しませんか」というように毎回同じ文言で最初に聞いています。政策の賛否を聞く質問をした後だと、支持率の回答が直前の質問に左右されてしまう恐れがあるからです。

できるだけ説明を加えず単純に聞くようにしていますが、説明が必要な場合も、回答を特定方向に誘導することがないように、慎重に表現を検討します。たとえば安全保障関連法案のような難しいテーマではある程度の説明が必要ですが、「日本の安全と平和を維持するために、安全保障関連法案の成立は必要だと思いますか」と聞くと、回答は賛成が増えるでしょう。

また、対象者が政策について知らなくても、調査員が説明せず「今読み上げた質問の範囲内でお答えください」とお願いしています。

報道各社で聞き方が違う

──新聞やテレビによって数値が異なるのはどうしてですか?

報道各社によって、聞き方が違うからです。例えば、内閣の支持・不支持を答えなかった人に対して「どちらかというと支持しますか、支持しませんか?」と「重ね聞き」する報道機関もあります。

朝日新聞は重ね聞きをしていないので「答えない(無回答)」という人の割合が20%ほどいます。そのため、重ね聞きしている報道機関に比べて支持率・不支持率の数字は低く出ます。無回答が数%の報道機関は、重ね聞きしている場合があります。

他にも統計学的な誤差や調査日時の微妙な違いなどの要因が数値の違いに関係しています。ただ、数値そのものは違っていても、上がったり下がったりする動きは各社で一致しているはず。毎回の変化はどうなっているかを見ていただきたいです。

──高校生にメッセージをお願いします。

2016年の参院選で、選挙権年齢が18歳に引き下げられたことを機に、世論調査の対象も18歳以上になりました。つまり、一部の高校生の方も対象になったので、もし電話がかかってきたらぜひ協力していただきたいです。

一部の高校生は調査対象

――インターネットで世論調査はできないのですか?

インターネットで回答される人は、年齢等が偏っています。参考に調査することはあるのですが、それを世論として報道できません。調査会社の登録モニターを使う方法がありますが、会社によって偏っている可能性もあるので、なかなか信用できません。インターネットでの世論調査については、まだまだ研究中です。

――世論調査を担当されているやりがいを教えてください。

例えば、加計学園の問題は、ニュースでは下火になりつつありますが、世論調査をすると「まだまだ十分には説明されていない」と答える人が多くいます。ニュースの表面には表れなくても、国民が1つの問題に対してどのように考えているかがよく分かるのです。

朝日新聞 川本俊三さん