分離培養し発酵させた酵母を嗅いで、香りを調査する生徒たち(学校提供)

佐賀・東明館高校バイオ同好会の4人は、地元の草花などから酵母を採取し、特産品を作ろうと奮闘している。同校がある県東部の基山町の町おこしをするためだ。

校内の桜などから採取

これまでに、校内に咲く桜や近隣の寺のツツジ、酒蔵の土壌などから試料を採取。酵母を培養し、香りや発酵する力が優れたものを選別してきた。試料を採取してから選別まで2カ月程度かかるという。部長の小田京香さん(2年)は「培養液の中から酵母を取り出す工程で、空中の菌が培地に入らないようにするのが難しい」と言う。

選別する中で「発酵力は高いが、異臭がする」「試料によって香りが異なる」などの違いがあることを見つけた。「パン生地は焼く前だと桜の酵母が一番適している。しかし、焼いた後に食べてみるとツツジ(の酵母)の方が、味や香りが良いと分かった」(小田さん)

パン作り住民に振る舞う

同部の採取した酵母を使った酒蒸しまんじゅうを、町の菓子店が販売。昨年と今年の春には、桜並木がある同校を地域に開放するイベントで、来場者に桜の酵母を使った生徒手作りのパンを振る舞った。

今夏、全国高校総合文化祭の自然科学部門に出場し、研究成果を発表。今後は、培養するときの糖の濃度を変えて、発酵の具合の違いを調べていくという。(野村麻里子)