マナビ最前線 理系のマナビ2017

テーマ、分野を絞り、さまざまな大学の学部や学科、研究室を紹介する高校生新聞の人気コーナー。 今回は2017年最新の理系特集。興味を持った分野やキーワードをもとに、学部選びの参考にしよう。

医療業界で工学の知識が活きる! 命のエンジニア「臨床工学技士」ってどんな仕事?<PR>


臨床工学技士・奥村高広講師
臨床工学技士・丸山直子助教

 

来春、学科名称が変更し「臨床工学科」に

2018年4月、埼玉医科大学保健医療学部医用生体工学科の名称が「臨床工学科」に変わる。臨床工学技士を養成する大学として、専門性の高さをより強くアピールする方針だ。

「命のエンジニア」とも呼ばれる臨床工学技士は、病院などの医療施設で、患者に必要な生命維持管理装置などの医療機器を操作する専門職である。「生命維持管理装置には、主に人工心肺装置、人工透析装置、人工呼吸器、心臓ペースメーカなどがあります。人工心肺装置を使用するような手術では、医師や看護師と共に手術室に入る、とても責任のある仕事です」と語るのは、講師の奥村高広先生[修士(工学)]だ。

臨床工学技士は、ただ機器を操作するだけでなく、患者それぞれの病気に対応するため、医学の知識も求められる。また、機器のメンテナンスも行うため、電気や機械工学など工学的知識も必須だ。

「人工心肺装置は、血液を体内に循環させるため、流体力学がベースになります。また、血流量と血圧の関係が電流と電圧に置き換えられるなど、理科で学ぶオームの法則も使います。このように、理系の複合的な知識で機器の状態と患者の容態を見て判断し、操作を行うのが臨床工学技士なのです」(奥村先生)

 

卒業研究で培う臨床現場での問題解決力

奥村先生が、助教の丸山直子先生[博士(医学)]と卒業研究の指導にあたっているのが循環医工学研究室だ。学生たちは3年次の中途から研究室に所属するが、本格的に研究を開始するのは4年次から。国家試験に向けた勉強、就職活動もある中、卒業研究にも取り組む多忙な1年間となる。

主に、人工心肺装置を研究テーマにしている奥村先生。人工心肺装置が使われるようになって約60年だが、人工心肺装置の部品構成や操作は、今も当時の手法が基準になっているという。

「その手法を新しくしたいんです。現状では、機器の操作は職人技とも言われ、経験が問われますが、命に関わる操作が職人技では困りますよね。そこで、誰が扱っても最上となるシステムを作りたいのです」と奥村先生は話す。

「装置を工夫することで、経験値に関係なく操作できる方法を探ります。実験では、血液の代わりに水を流し、安全性を確かめながら、臨床現場で起こりうる事故を考え、トラブルに対処できるシステムを目指しています」とは丸山先生だ。

自身が臨床工学技士でもある両先生。1人1テーマでしっかりと卒業研究に取り組めるのが4年制大学のよさだという。「研究を通じて問題解決する能力や新しい医療を開拓する力が身につきます」(丸山先生)

 

2016年度は就職率も国試合格率も100%の実績

同学1学年定員は40名。毎年の求人件数は、200件を超える。臨床工学技士の国家試験合格者の就職率は常に100%となる。また、国家試験合格者数も、2016年度は100%という快挙だった。

「臨床工学技士には多彩な学びが必要です。それだけに4年間みっちり学んで現場に行くことは学生にとって力になります」という奥村先生に、「臨床工学技士は、人の体の仕組みも工学的に捉え、機器の中身もよく理解している、工学的素養をもった医療人です。理数系が好きで人の命を救うことに魅力を感じる人に是非来てほしいですね」という丸山先生。工学の知識は、ものづくりだけでなく、直接人の命を助ける仕事でも生かされる。それが臨床工学技士の仕事だ。

 

先輩に聞く

医用生体工学科4年 石坂直樹さん (埼玉・私立城西大学付属川越高等学校出身)

高2の頃、医療ドラマに出てくる人工心肺装置を見て、臨床工学技士という職業を知りました。理系で、人のためになる仕事をしたいと思っていたので進学を決意。卒業研究では、人工心肺装置の構成部品である、患者の肺の代わりに血液中の酸素と二酸化炭素のガス交換を行う人工肺をテーマに実験を行っています。授業で行う実験はマニュアルがあり、決まった解答にたどり着きますが、研究室での実験は正解がわかりません。自分で常に考察しながら実験する必要があり、実験の経過を確認しながら進める習慣が身につきました。臨床工学技士は、機械だけでなく人と接することができないと務まりません。それを理解した上で関心のある人は、大学付属の施設が豊富で、実習環境が充実している埼玉医科大学で学ぶことをオススメします。

 

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