いわゆる「理系」の人材は産業界を中心にニーズが非常に高い。近年は、国をあげて人材育成に力を注いでおり、大学の理系学部はこれまで以上に脚光を浴びている。そこで、理系の学部の特徴などを紹介しよう。

さまざまな専門分野があり、就職率の高さも魅力

大学の専攻で大きく2つに分けられる「理系」と「文系」。それぞれに魅力はあるが、理系のよさのひとつといえるのが就職率の高さである。

昨今、景気回復の影響もあり、文系学生の就職率も高まりつつある。それでも理系の就職率は文系を上回っており、平成29年3月大学卒業者では理系全体で98.7%にのぼる(グラフ参照)。さらに私立大学では実に99.4%と、企業からの期待が大きいことがわかる。では、実際にどのようなことを学べるのか紹介していこう。

理系の学部は、理学、工学、農学、医療・保健学という4つの系統に大きく分けることができる。理学部は自然界の謎を解き明かし、根本的な原理や法則などを探求する学問。数学、物理、化学、生物などを学ぶ学科があり、高校で学んだことを発展させ、より高度で専門的な研究を行う。

工学部では理学の知識をもとにして、ものづくりや技術開発などを行っていく。学科は主に研究対象ごとに数多くあり、例をあげれば機械工学科、電気電子工学科、情報通信工学科、建築学科、応用化学科などで、細かく分かれている。一方で、大学によっては細分化した学科を統合する動きや、理学部と工学部の学科を併設して「理工学部」として設置しているところもある。

ほかに、農学部では農業分野全般のほか、食糧問題やエネルギー問題、環境問題など人類の生存にかかわる学問を追究することができる。また医療・保健学の学部では、主として医師をはじめさまざまな医療福祉関係の専門職の育成などが行われている。

 

 

学部・大学院で6年一貫制の動きも

スマホの普及、AI(人工知能)、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)など、科学技術、ITの進歩はめざましい。しかし同時に、地球温暖化や人口の爆発的増加、太陽光や風、地熱など自然の力を使った再生可能エネルギーの開発など、これから解決をしなければならない課題も多い。そこで活躍が期待されているのが理系人材だといえる。

そして、理系人材の育成には、大学はもちろん、社会や国も積極的に取り組んでいる。文部科学省では現在、「大学における工学系教育の在り方について」の議論を重ねており、6月に発表された中間まとめでは、「学士・修士の6年一貫制など教育年限の柔軟化」などが施策としてあげられた。

もともと大学院への進学者割合が多く、約4割を占める理系学部。昨今の傾向としては研究者を目指す人ばかりでなく、企業への就職希望者でも大学院に進学することが増えてきているようだ。大学院修士課程修了を求人の応募条件にする企業もある。高い専門性を持った人材を企業側が求めていることのあらわれだろう。

また、こうした流れに連動するように、東京工業大学では昨年、学部と大学院の区分けを廃止して「学院」に一本化した。ほかにも横浜国立大学では理工系の人材育成に力を入れることを目的に、来年4月から大学院の組織改編を実施することが決まっている。私立大学でも工学部を再編し、より専門性を高めた学部を増やすなどの動きがあり、今後、6年間の院制を前提にした学びは、多くの大学に広まっていくと予想される。理系の人材は今後ますます社会に必要とされていくであろう。