全国高校総体ソフトテニス団体で優勝した東北の選手たち

全国高校総体(インターハイ)ソフトテニスの男子団体戦が8月4日に岡山県備前テニスセンターで行われ、決勝で東北(宮城)が岡崎城西(愛知)を2対1で下し、4年ぶり4度目の優勝を果たした。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

春はベスト16 スマッシュ練習重ねた

3月の全国高校選抜では3回戦で敗れ、ベスト16に終わった。中津川澄男監督は「『だらしないぞ』と、とくに精神面が弱かった3年生にプレッシャーをかけ、今大会に向けては選抜の敗因の一つだったスマッシュ練習に多くの時間を割いてきた」と語る。その成果もあり、早坂隆之介(3年)や渡辺奎吾(3年)ら前衛陣はこの日、大事な場面で鮮やかなスマッシュを決めることが多かった。

ただ、インターハイを前にチームには「何が何でも優勝するんだ」という、前のめりの雰囲気はなかったという。主将の下平健三郎(3年)が「一戦ずつしっかり勝って、最低ベスト8まで行けたらいいと思っていました」と言うように、まず自分たちの力を出し切ることを重視し、それが結果的にチームの快進撃につながった。

準々決勝で強豪の三重(三重)を2対0で撃破すると、準決勝では、インターハイ最多19回の優勝を誇り、個人戦でも4ペアが8強入りした高田商(奈良)をこれも2対0で下している。「ぶつかって砕けろという気持ちで向かっていきました」(下平)という選手たちの気迫が、全国高校選抜王者・高田商の「春夏連覇」を阻んだ。

全国高校総体ソフトテニス団体で優勝した東北の新沼舜大

決勝は因縁の相手「借りを返す」

そして迎えた決勝の舞台。岡崎城西は、東北が選抜の3回戦で敗れた因縁の相手でもあった。「あの時の借りを返そうと、チーム一丸で向かっていきました」と下平。初優勝を狙う岡崎城西も、優勝候補に挙げられていた上宮(大阪)を準々決勝で破るなど勢いに乗っていた。同時に開始された2試合は互いが譲らず1勝1敗となり、勝負の行方は最終試合にゆだねられた。東北3番手の新沼舜大(2年)は「緊張してしまって全然脚が動きませんでした」と言いながらも、重圧のかかる試合を林民生(2年)とともに攻めの姿勢を貫き、マッチポイントで力強いボレーを叩き込んで試合を決めた。

全国高校総体ソフトテニス団体で優勝した東北の林民生

 優勝が決まると、ベンチも応援団も喜びを爆発させ、歓喜に酔いしれた。下平は大会を振り返って「最高の夏でした」と胸を張った。真っ黒に日焼けした顔が、それだけ練習を積んできたことを物語っていた。

全国高校総体ソフトテニス団体で優勝した東北の選手たち