全国高校総合文化祭書道部門で文部科学大臣賞を受賞した田北楓さんの作品
田北楓さん

第 41回全国高校総合文化祭(みやぎ総文2017)の書道部門で、田北楓さん(福岡・太宰府高校書道部3年)の作品「臨 呉昌碩石鼓文」が文部科学大臣賞に決まった。8月3日、仙台市内の部門大会で表彰された。(文・写真 野村麻里子)

墨の濃度に気をつけた「独特の筆づかいを再現」 

中国の書家・呉昌碩が石鼓文(石碑に書かれた文字)を見て書いた作品の伸びやかで豊かな線に惹かれ、入学時から臨書してきたという。こだわったのは呉昌碩独特の力強い筆づかいを再現すること。「リズムをつけて書くと呉昌碩に近くなる」という。
 作品は1カ月で仕上げた。練習に使う墨液が濃く、水で薄める必要があるが、その調整が苦手だったという。墨の濃さで筆の動き方が変わってしまうため、練習の時から墨の量を調整し、筆がいつも同じ動きをするよう気を付けた。

昼休みも練習「自分に勝つ心構えで」

一番大事にしているのは姿勢。「スポーツもフォームが大事。姿勢や筆の持ち方は先生の真似をして、普段の練習から取り組んでいます」
 小学1年生から習字教室に通い始め、本格的に書道を始めたのは高校入学から。書道部では、平日は午後4時半から7時半、日曜日は午前9時から午後4時まで活動している。それ以外に朝はもちろん、昼休みもご飯を早めに食べて残りの時間を練習に充てている。「勉強との両立のため、なるべく学校で練習するようにしています」
 うまくかけないときは楽しくない。「つらいな」と感じることもある。だが、「ふとした瞬間に思い通りの一本が書けるとうれしい」という。「誘惑に負けて練習したくない時もありました…。けれど、そんな自分に勝てるような心構えで書道に向き合っています」