多彩な役を演じる女優・多部未華子(たべみかこ)さん。ミステリー小説を実写化した主演ドラマ「ドS刑事」では女性刑事役に挑む。女優の仕事を通じて芽生えた知的好奇心が、大学進学を後押ししたと高校時代を振り返る。
(文・中田宗孝、写真・玉井幹郎)

 

ニタァと笑う表情見て

ドラマ「ドS刑事」で多部さんが演じるのは、超高飛車なキャラの女性刑事マヤ。ドラマ衣装が役作りを手助けした。

「衣装は、演じる上で意外と大事。ボブカットに黒ずくめというマヤの格好をイメージして役を作っていきます。そのほか、ドS心をくすぐる〝エモノ〟を見つけると、ニタァと笑う。その表情が私の見どころです」

 インタビュー時は第1話の撮影の真っ最中。連続ドラマの撮影に取り組む役者の心境を教えてくれた。

 「第1話の撮影時は、どの出演者も自分の演じる役柄を上手につかめていないことがあります。でも今回は、最初からマヤになりきれている手応えがある。共演者の方々も、1話から個性的なキャラを仕上げていらっしゃって、良い作品になる予感がしています!」

大学進学迷わなかった

学業と芸能活動を両立していた高校時代の多部さんは、3年生の春には大学への進学を心に決めていた。

「進路で悩んだことはありません。当時も芸能活動をしていましたが、大学には絶対に進学しようと考えていました。芸能界以外で友人をつくりたかったし、何より大学で勉強したいことがあったんです」

 学びたかったのは心理学。きっかけは中学から始めた女優の仕事で出会った大人たちだ。

「芸能界では、想像力豊かな尊敬できる大人の方々に出会いました。柔軟な発想ができる、皆さんの思考回路を詳しく知りたくなり、大学で心理学を学ぼうと思ったんです。私の追求するテーマにより近い、コミュニケーション学科のある大学を受験し、入学しました」

疑問が夢のヒントに

進路や目標に悩む高校生にはこんなアドバイスを送る。

 「何げなく過ごす学校生活の中で疑問に浮かんだことはありませんか。それが将来の夢や目標のヒントになるかもしれません。いろいろな物事に関心を向けていれば、必ずやりたいことが見つかります。自分の好奇心を信じてみてください」

たべ・みかこ 1989年1月25日、東京都生まれ。2002年に女優デビュー。映画「君に届け」、ドラマ「デカワンコ」など多くの作品で主演を飾る。09年放送のNHK連続テレビ小説「つばさ」ではヒロインに抜てき。9月5日に主演映画「ピース オブ ケイク」の公開が控える。
「ドS刑事」 悪人を好きなだけいたぶれるという〝ドS〟な動機で刑事になった黒井マヤ(多部未華子)。真面目でお人よしな代官山巡査(大倉忠義)とタッグを組んで難事件に立ち向かう。
 日本テレビ系で4月11 日から毎週土曜午後9時放送。

 

(高校生新聞 2015年4月号から)