高い打点でしっかりボールを打つのが下北沢成徳のポリシーだ

バレーボール女子でインターハイ連覇が期待される下北沢成徳(東京)。下級生主体のチームだが、名将の指導とトレーニング、そして3年生のリーダーシップで再びの頂点を狙う。 (文・田中夕子 写真・幡原裕治)

選手の将来見据えた指導

高く上げたトスを高い打点で捉え、思い切りたたきつけるように打つ。世代や選手が変わっても、取り組むスタイルは変わらない。それが、将来を見据えた指導を行う下北沢成徳の伝統であり、チームを率いる小川良樹監督のポリシーでもある。

「日本一はもちろん大きな目標です。でも、それ以上に大切なのは、一人でも多くの選手が長く選手生活を続けられること。高校時代は、そのために大切な基礎を教える時期だと思っています」将来を見据えた強化を第一としながらも、昨年度はインターハイで頂点に立ち、全日本高校選手権(春高バレー)を2連覇した。当然ながら他校は「打倒成徳」を誓ってインターハイに臨むことが予想されるが、小川監督だけでなく、選手たちにも「挑戦を受ける」気持ちなどさらさらない。「挑戦者として臨むだけ」と言うのは昨年のインターハイもリベロとして出場した岩沢実育主将(3年)だ。「去年はすごい先輩たちに引っ張ってもらって優勝できた。今年は2年生主体のチームなので、自分たち3年生が少しでも引っ張れるように、チャレンジャー精神で戦いたいです」

走るトレーニングを重視

ボールを使った練習と並行して、下北沢成徳が力を入れるのはウエートトレーニングや体幹トレーニング。そして800メートル、400メートル、200メートル、100メートルと異なる距離を連続して走るランニングトレーニングだ。選手たちが「本当にきつい」と苦笑いを浮かべるトレーニングだが、試合で常に高く跳び、高い打点から打ち続けるスタミナと筋力をつけるためには不可欠なもの。小川監督が「大会前は400メートル走のタイムを一つの指針にして、選手の調子を見ている」と言うように、試合が近づいたからといって、トレーニングがなくなるわけではない。むしろ「選手のモチベーションにつながっている」と話すのはウイングスパイカーの仁井田桃子(2年)だ。

「インターハイ東京都予選の前に、小川先生から『ラントレでベストが出せたらいい結果が出せるんじゃないか?』と言われたので、『頑張ろう』と思って走ったらベストが出た。予選では、長いラリーが続く苦しい場面を勝ち取れたので、力がついているんだ、強く
なっているんだ、と少し自信が持てました」都予選は全てストレート勝ちで1位通過。ディフェンディングチャンピオンとしてではなく、いつもと変わらぬ最強のチャレンジャーとして本選に挑む。

 

TEAM DATA

下北沢成徳バレーボール部1951年創部。部員22人(3年生3人、2年生14人、1年生5人)。木村沙織、荒木絵里香ら全日本やVリーグに多くのOGを輩出。昨年度はインターハイ、春高を制し2冠を達成した。