お話を聞いた先生!

関 弘和 教授 工学部機械電子創成工学科

計測・制御技術を福祉分野に活かす

スイッチを押すだけで、部屋を隅々まで掃除してくれるお掃除ロボット「ルンバ」。段差を避け、障害物に当たると向きを変える賢さの実現は、計測・制御技術によるものだ。では計測・制御技術とは、いったいどんな技術だろう。

「ある機械の目的を果たすために必要な情報をセンサーで検出するのが計測技術。その結果をコンピューターに取り込んで知的処理(人間の知的活動に近い情報処理)を行い、動かそうとしている機械に適切な指令を出すのが制御技術です。実際に機械を動かすときには、計測と制御を1秒毎に1000〜2000回ほど繰り返します」と千葉工業大学 工学部 機械電子創成工学科の関弘和教授は説明する。

ルンバだけではない。エアコンなどの家電からエレベーター、工場で使われる産業機械、手術支援ロボット、いま話題の卓球ロボットまで、計測・制御技術はここ5〜10年で急速に広がりをみせる。これを福祉の分野に活かそうというのが関教授の研究だ。

人の力や動きを検知して
車いすを制御する

そのひとつが電動アシスト車いす。人が車いすをこぐときに発生するさまざまな物理量(ハンドリムの操作・体の傾き・力など)に基づき、タイヤ部分のモーターが利用者をアシストする。原理は電動アシスト自転車とほぼ同じだ。

「私たちが目指すのは、市販の電動アシスト車いすの高機能・多機能化です。具体的には坂を上る、坂を下りながら曲がるなど、利用者の行きたい方向に行くことを、モーターが自動的にパワーを調整してアシストする― そんな機能の実用化を目指しています」

ここまで読んで「完全にモーターで自走する電動車いすの方が楽なのでは?」と思う人もいるだろう。だが、電動アシスト車いすには電動車いすにはないメリットがある。ひとつは、残存機能の衰えを防ぐリハビリ同様の効果が期待できること。もうひとつは電動車いすと比べて利用者の障がいが軽く見えることだ。

さらに関先生は使う人の性別や年齢、趣味嗜好によってアシストの強弱を調整する必要性を指摘する。「同じ障がいがあってもアシストにどの程度頼りたいかは人によって違います。たとえばかつてバイクを乗りこなしていたような人、機械を作動させることが好きというような人であれば、アシストはでしゃばりすぎない方がいい。オートマチックよりマニュアルの自動車を好んで運転する人がいるのと同じことです」と関先生。「必ずしも便利=満足ではないという視点をもち、障がいのある方たちひとり一人にとって最善の設計ができればと考えています」

一方、事故や病気で腕を切断した人のための筋電位義手制御システムも開発中だ。残された腕の部分の筋電位(筋肉に力を入れるときに出る電気信号)から、義手の装着者が手を開きたいのか、あるいは握りたいのかをセンサーが読み取り、義手を制御して動かす。「こういった能動義手はドイツのメーカーにより製品化されているものの、精度や操作性・機能・コストなどの点でまだまだ課題が山積している。さらに正確かつ安定的な動作を目指すことで普及につなげたいと考えています」

機器を自在に操作する
ための操作訓練システム

研究室ではさらに障がいの種類や程度、利用者の要望に合わせて設計したアシスト型車いすや義手の操作訓練システムの研究開発にも取り組む。電車運転シミュレーターゲームなどの感覚で1〜2週間訓練すれば、自分に合わせて設計した機器を自在に操作することができるようになる。

これらの研究開発のために学生たちは自ら被験者となり、改善点とその解決策を模索。プログラムを書いては、何百回となく実験を繰り返す日々を送っている。

「これまで人類が積み上げてきた科学技術を人のために使いたいというのが学生の、そして私自身のモチベーションです。高校生の皆さんには、世の中の動きを常に問題意識をもって追うことで、大学での学問に対するモチベーションを高めてほしいと考えています」

 



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