ディフェンス前に出るディフェンスがチームの持ち味。練習から本番さながらの激しさだった

高校女子ハンドボールで全国屈指の強豪・佼成学園女子(東京)。専用の体育館でほぼ毎日、32人の部員が放課後3時間ほどの練習を重ねてインターハイでの日本一を狙う。強さの秘密は、体づくりのための基礎練習で培ったディフェンス力にあった。(文・写真 斉藤健仁)

毎日1時間は体づくり

練習は体幹トレーニングからスタート。ダッシュ、フットワーク、さらにはハンドボールならではの激しいコンタクト(接触プレー)練習へとリズム良く続いていった。さらに5年ほど前からウエートトレーニングを導入し、ライバルに負けない体づくりに取り組んでいることが、近年の結果に結びついている。

「体の土台をつくることを重視している」と、石川浩和監督が言えば、主将の平川愛(3年)も「1時間ほどボールを持たない練習は当たり前で、ウエートトレーニングも週に3、4回やっています。日々の積み重ねが試合の動きに出ます」と、効果を実感している。

1時間ほどして、やっとボールを使ってシュートやGK練習を行う。3対3、4対4などの後、6対6の試合形式の練習となった。特に、守備をする時の個々の当たりは強く、選手たちは「強みはディフェンスです」と声をそろえる。積極的なディフェンスがチームの特徴だ。

シュート守備だけでなくシュート練習も毎日欠かさない
ウエートトレーニング週3〜4回のウエートトレーニングで体づくり

隙あらばパスカット

ハンドボールは、ゴールから半径6メートルの距離にラインがあり、その範囲内はGKしか入れない。そのため、そのライン上に6人の選手が並んで守るチームが多いという。ただ、佼成学園女子は日々の練習で基礎的な体力、筋力を強化しているため、相手の攻撃に隙があれば、前に出てパスカットをしてボールを奪いにいく。ボールを奪えば、速攻を仕掛けて得点を狙う。「ほかのチームは引いて守りますが、私たちは相手にプレッシャーを与えてどんどん上がります」と、エースで部長の吉田瑞萌(3年)は胸を張る。

3月の全国高校選抜大会は2回戦で敗退。「チームの調子に少し波がありましたが、今はそれもなくなってきました」と平川主将は言う。インターハイでの日本一を目指して、日々、練習に精を出している。

 
石川浩和監督(写真左)と安藤希沙コーチ

体だけでなく心も整える
石川浩和監督

「日本一」が目標です。コートの外でも「さすが」と言われるチームを目指しています。
 人間的な成長を促し、チームワークをつくるために、整理整頓やあいさつ、思いやりなどについては厳しく言っています。地域の掃除活動などもしており、3年時には自然とできるようになります。体を整えるだけでなく、心も整えてほしい。

ハンドボールの指導に関しては、一人一人に対して、良いところは良い、駄目なところは駄目と言います。直さないと試合に出てしまいますから。また卒業生の安藤希沙コーチと二人三脚で指導し、トレーニングなどは任せています。

 
【  TEAM DATA
1963年創部。部員32人(3年生9人、2年生13人、1年生9人、マネジャー1人)。練習は月曜日を除く週6日。朝練習はなし。全国高校選抜大会は2012年度、13年度優勝。全国高校総合体育大会(インターハイ)は1987年度と2014年度優勝、15年度3位。関東大会には24年連続43回出場。部訓は「ハンドボールが人間を練り、ハンドボールが人間を作る」。