地元の歴史の調査をしている静岡・三島北高校郷土研究部が、地元発祥のインスタントコーヒーについての調査をまとめ、8月の全国高校郷土研究発表大会で優秀賞に輝いた。(文・写真 田中淑子)

研究のきっかけは、昨年の全国高総文祭の生徒交流会。静岡県の紹介をするために県のホームページを開いたところ、三島で日本初のインスタントコーヒーが作られたことを知る。どうして三島だったのか――。昨年の夏から調査研究を始めた。
 まず部員は、図書館で製造元である森永製菓の歴史とコーヒーに関する資料を調べた。現在、同社はインスタントコーヒーを製造していないため、詳しいことは放課後に同社のお客様相談室に電話をして聞いた。「疑問点が出ると何度も電話をし、教えていただきました。資料も送っていただき、助かりました」と部長の井田晴香さん(2年)。

話す速度に気を配った

コーヒーは同社の60周年事業として1959年に開発され、翌60年に販売された。食品粉末化の研究実績があり、温暖な気候と水資源があったことなど、複数の要素が重なったことも判明。「知られざる三島の日本初インスタントコーヒーの製造」と題した報告書にまとめた後、プレゼンテーション用のスライドを作成した。
 長田有加さん(2年)は「調査だけでなく、発表やタイトルの付け方も大事。分かりやすく伝えるため、話す速度やスライドの構成などに気を配りました」と話す。
 阿部加奈恵さん(2年)は「工場は家の近所にあるのですが、すごい歴史があることを初めて知りました。周りの人にも知ってほしい」と語った。

●部活データ 

2004年創部。部員14人(3年生5人、2年生3人、1年生6人)。現在は「三島暦」について研究調査中。さらに「石造物について」(巡礼供養塔など)も調査する予定。