雨天時や通常練習後の自主練では筋力トレーニングで体力をつける

高校野球の強豪私学がひしめく東京で、「都立の雄」として昨秋の西東京大会で4強入りを果たした日野(東京)硬式野球部。徹底した体力強化をベースに、時間やスペースを効率よく使いながら日々の練習に励んでいる。目標は都立勢として史上4校目、14年ぶりとなる甲子園出場だ。(文・写真 小野哲史)

「走り」を重視

重視しているのが体力面の強化だ。主将の大石祐輝(3年)は「練習をピラミッドに例えると、土台が体力。その上に運動能力があって、一番上が技術だと先生からいつも言われています。まず体力がないと何もできないからです」と語る。代表的な練習メニューは、200メートルを40秒以内で15本走るインターバル走だ。1本ごとに80秒の休憩を挟むが、その間は腕立てや腹筋といった筋トレを行う。挟殺プレーの練習でも塁間をダッシュするなど、走ることに重きが置かれる。

取材日は雨天だったが、階段の昇り降りを繰り返す部員の姿があった。「入学時の体重は63キロでしたが、今では78キロになって体力もつきました。打撃の飛距離や質が上がったり、守備でも送球が強くなったり、全てにおいて変わったと思います」(大石)

限られたスペースを活用

グラウンドは基本的にサッカー部と共有のため、練習に工夫を凝らす必要がある。ノックでは、「サードやショート方向」と「ファーストや一二塁間方向」に分かれて2人が同時に打つ方法を採用するなど、効率を考えている。

エースの小林龍太(3年)は、昨年ドラフト1位で千葉ロッテマリーンズに入団した日野OBの佐々木千隼から教わった体幹トレーニングを日頃から大事にしているという。「足をがに股に大きく開き、腰を落としたまま体重を左右に移動させます。『千隼さん』と呼んでいるメニューで、いつでもどこでもできる。股関節の柔軟性が高まり、投球フォームが安定します」

決して恵まれた環境とはいえない。だが、公立校としての意地と、甲子園という大きな目標が、同部の原動力になっている。

 

 

プロ直伝メニューエースの小林龍太が日野OBの佐々木千隼から教わった「千隼さん」と呼ぶトレーニング。これにより体のキレも増すという。

 

ひたすら走る日野の練習はとにかくよく走る。体力アップが重要と考え、雨の日は黙々と階段を走り、グラウンドでもダッシュやインターバルのメニューが多い。

 

シャトルで打力を磨く雨の日は校内の廊下でシャトルを使って打撃練習。1球1球集中し、フルスイングで振り切っていた。

 

「『負けない』執念育てる」 嶋田雅之監督

 

 

投げるにしろ打つにしろ、高いパフォーマンスを発揮するには、土台がガッチリしていないといけませんから、普段は脚が太くなるような練習が多いです。そして最終的には、自分の体を自分が思っているようにパッと動かせるまで持っていきたいわけです。

効率的にやりたいので、キャッチボールも肩慣らしのようなものはせず、捕球姿勢を取ったり、バウンドやゴロを混ぜたり、投げ方を指定したりして、トレーニングの要素を入れています。

週末によく行う他校との練習試合では、結果を重視させます。勝つために何をするか、一人一人が考えなければいけませんし、そこから「負けない」という執念が生まれると考えています。

 
 
【TEAM DATA】
1966年創部。部員76人(3年生25人、2年生16人、1年生30人、マネジャー5人)。2013年の全国高校選手権西東京大会準優勝。02、09、16年は選抜大会21世紀枠の候補に。OBに佐々木千隼の他、元巨人の横川雄介らがいる。