交流イベントには、約400人が参加。石巻レッドライオンズの選手たちからは「来年も来ていいですか?」という元気な声が挙がった(写真提供・浦和学院高校)

 

浦和学院高校は「石巻交流プロジェクト」と題し、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市との交流を続けている。1月にはミニバスケットボールチーム「石巻レッドライオンズ」に所属する小学生ら30人を招待し、バスケットボールを通じて交流した。(野口涼)

ミニバスチームを招待

レッドライオンズの子どもたちは、地元では体育館の不足などで、十分な練習ができない。指導者によるクリニック(講習)を受け、埼玉県内のミニバス6チームなどとの試合を笑顔で楽しんだ。同校男女バスケットボール部の部員たちは見本を見せたり、試合の審判をしたりして、イベントをサポートした。

部員たちはみんな、被災してつらいはずの子どもたちが、元気いっぱいで明るいことに驚いたという。その上で、「みんなバスケが大好きなのがわかった。自分はバスケができる環境にいることに感謝しなければと思った」(湯本夏美さん・3年)、「テレビで被災地の様子を見ても他人ごとだったが、バスケを通して被災地の子どもたちと仲よくなり、感じ方が変わった」(戸畑郁人君・2年)などと感じた。

女子バスケットボール部2年生の6人は、この日の交流をきっかけに2月に石巻へのボランティアツアーに参加。宇多美祈さんは「来校した子どもたちの笑顔を見て、復興は進んでいるのだと想像していた。実際に現地に行ったら、さら地ばかりで言葉を失いました」と話す。

「被災地の人たちを少しでも元気づけると同時に、こうした経験が生徒の成長につながれば」と、同校職員として交流活動を支えてきた車谷裕通さんは期待する。

石巻の元校長迎え交流重ねる

 同校では震災直後から現在にわたり、石巻の人々との交流を続けている。被災地への訪問は33回、被災地からの招待が14回。現在プロジェクトのリーダーを務めるのは同校講師の畠山卓也先生。畠山先生は石巻市立北上中学校の元校長で、昨年3月の定年退職と同時に同校に迎えられた。

「亡くなった2万人の死を無駄にしないでほしい。まずは現地を見て、当たり前のことが当たり前でないこと、よりよく生きていくことの大切さに気づいてほしい」と話す畠山先生。今年度は2回のボランティアツアーのほか、特進類型コースの生徒による被災地の小学生への学習支援の実施を目指している。

小学生を笑顔でサポートするバスケット部員(写真提供・浦和学院高校)