25年連続で増加

児童虐待が増加の一途だ。全国の児童相談所(児相)が2015年度に対応した児童虐待件数は10万3260件(速報値)と14年度比16%増。集計を始めた1990年度から25年連続の増加で、初めて10万件を突破し、深刻な状況が浮き彫りになった。

厚生労働省が、全国208カ所の児相が相談や通告を受けて対応した事例を集計した。政令市なども含む都道府県別では大阪が1万6581件で最多、次いで神奈川、東京、埼玉だった。虐待の内容別では暴言や、子どもの前で配偶者らに暴力を振るう「面前DV」などの「心理的虐待」が47.2%、「身体的虐待」27.7%、「育児放棄(ネグレクト)」23.7%、「性的虐待」は1.5%だった。

このような状況を受けて、5月には児相の体制や権限を強める改正児童福祉法と改正児童虐待防止法が成立。児童福祉司や弁護士の配置義務化のほか、強制的に家庭に立ち入る「臨検」手続きの簡略化が盛り込まれた。

背景に家庭の孤立や経済格差

児童虐待問題では、子どもの保護だけでなく、子育ての不安や経済的事情などさまざまな問題を抱える親への対応も必要だ。専門家は、問題の背景には地域から孤立した家庭の増加や経済格差の問題があると指摘する。