物理班らしく「フレミングの左手の法則」のポーズを決める部員たち

中学校で学習する「レンズの実験」。レンズでできる像には実像と虚像があり、実像は1つしかないと長年考えられてきた。しかし実は、3つ目の「映るもの」があることを知っているだろうか。宇土高校科学部物理班のメンバーが、この事実を発見したのだ。(文・写真 吉永恵子)

 新たな「像」を見つけた!

レンズの前に映った副実像

レンズの前に電球を光らせ、その像をスクリーンに映す。するとスクリーンにはレンズを通った電球の実像が映り、レンズの中には電球をさかさまにした虚像が映る――これが中学校の理科の時間に学習する「レンズの実験」だ。

これまで、レンズを通すと実像は1つしか映らないと考えられていた。しかし2012年度、部員がレンズの前後にスクリーンの実像とは別の実像ができることを発見。これを実像(the real image)と区別して副実像(the secondary real images)と名付けた。同班はこの発見で、第56回日本学生科学賞(読売新聞社主催)において「全日本科学教育振興委員会賞」を受賞している。

日本代表として中国へ

レンズの実験をする装置

その後の研究で、この副実像は、レンズの反射光によってのみつくられることがわかった。物理班の班長を務める安部友里菜さん(2年)によると、もともとは先輩たちがレンズの焦点距離を測定していて、偶然見つけたという。「先輩たちの研究に感動して物理班に入りました。今後はこの副実像を数式でしっかりと表現できるようになりたいです」と目標を語ってくれた。

同班は8月に中国・北京で開かれる「中国青少年科学技術イノベーションコンテスト」の日本代表にも選ばれた。英語での発表になるため、翻訳担当の村上舞佳さん(2年)とともに今から英語のプレゼンテーションを特訓する予定だ。