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高校生新聞の人気企画「マナビ最前線」と明治大学のコラボ企画「明治のマナビ」では、さまざまな学部の教授陣の研究室を訪問し、今イチオシの学びを紹介しています。

【マナビ最前線】日本を支える理系のチカラ 〜明治大学 数学とコンピュータを駆使して社会の問題に取り組む<PR>


末松信彦講師

数学をベースにしつつ、理学部とは異なるアプローチ

総合数理学部は設置されて3年目を迎える。先行して、研究活動を主体とした研究所や大学院が発足されており、卒業後の大学院進学まで視野に入れて学ぶことができる。聞き慣れない名称だが、理工学部とはどんな違いがあるのだろうか。

「数学をベースに学ぶのですが、通常の理学系学部と異なり、数学をいかに社会につなげるか、数学と自然現象・社会現象とのつながりを強く意識した学部です。理学部と比較すると、コンピュータに関するカリキュラムに注力している点も特徴的でしょう」と説明してくれたのは末松信彦先生だ。

総合数理学部は「現象数理学科」「ネットワークデザイン学科」「先端メディアサイセンス学科」の3学科で構成され、現象数理学科では、動物や植物の模様、交通渋滞や経済不況などさまざまな現象を、数学を用いて解明する。ネットワークデザイン学科は、ネットワークを形作る基礎工学技術とコンピュータ技術を身につけ、知能数理システムや身の回りにあるネットワークデザインの技術を学ぶ。また、先端メディアサイエンス学科は、これからの世の中に必要なものを探り、発想するための知識や技術を数理科学とメディア情報学の観点から学 ぶ。いずれも「数 学」「コンピュータ」「物理」といった学びを基礎とし、学年が上がるにつれて、それぞれの専門へと進む。

ドラマ「ガリレオ」のような現象を数式で表すモデリング

私が所属する現象数理学科は、自然科学もしくは社会科学で見られるさまざまな現象を数学で理解しようということをやっています。数学で理解するためには、数式に置き換えなければならないのですが、それをモデリングと言います。現象をいかに数式で表すかという点が数学科の学びと大きく違う点です。もちろんベースとなる数学は、1年次からしっかり学びます」と末松先生。

数学を基礎とし、1年次には「プログラミング」、2年次には「現象とモデリングのシミュレーション」、3年次には特定の分野ごとに分かれてより高度な数値計算を学ぶ同学科だが、具体的にどんなモデリングが研究として行われているのだろうか?

「例えば、シマウマの縞模様はどうやってできていると思いますか?」と末松先生。「全部、遺伝子によって決められているのではなく、条件が整えば縞模様は自然に現れるんです」

本当に縞模様が遺伝子で決められているのであれば、生き物でないと再現できないはずだが、実はシャーレの中でも同じような規則的な模様を、化学反応で作ることができ、しかもそれを数式で表すことができるというのだ。

「他にも、身近な例を話せば、風呂場の天井に水滴が等間隔に並んでいるのを見たことがありませんか?あれは薄い水のフィルムが不安定になることで等間隔になるのですが、この厚みの液膜なら、この間隔で安定したパターンになるということも計算できるんです」

末松先生は、「現実の問題に対して、コンピュータや数学を使って解決できることが本学科の強みです。学生には、問題の本質を捉える能力を身につけ、柔軟に手法を代えてでも、問題を解決できるようになってほしいと思っています」

最後に、高校生にこんなアドバイスをくれた。「とにかく本を読んでほしい。知識が幅広いといろいろなことに興味をもって疑問を感じることができます。興味がないのに、勉強はできません。学びの燃料は興味や疑問なのです」

先輩に聞く

井上大地さん・2年
(横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校出身)

 

もともとは物理学科に進学しようとオープンキャンパスに参加したのですが、そこで知った総合数理学部の研究内容がおもしろく、現象数理学科に入学しました。高校までは、何のために勉強するのか分らず、そんなに楽しいと思えなかった数学ですが、今は「あの時覚えた数式は、この問題を解くのに必要だったんだ」などパズルのピースがはまるような感覚で、好奇心をくすぐられます。

1年次から受講する「総合数理ゼミナール」では、好きなテーマで研究を行えます。私は「円周率が乱数列であることの証明」「降雨時に、一定距離をどう動けば濡れないか」などをテーマにしてきましたが、今は2年生になり、「もっと掘り下げた研究ができる」と思えるほど知識が身につきました。

総合数理学部で学ぶには、「なぜ?」を考える姿勢が大切です。当たり前だと思っていることの理由を考えると世界が変わりますよ。

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