ジャーナリスト 藤田 正美

質問

なぜ首相がころころ代わるの?

衆院選で自民党が勝って、安倍総裁が首相になりました。私は、また首相が代わるのはよくないと思っていました。なぜ首相がすぐに代わるのでしょうか。 (高校2年女子)

回答

与党が首相代えて延命図る

2006年に小泉純一郎首相が退任して以来、日本の首相の「賞味期限」は1年以下になってしまったようです。高校生には、もはや名前すら正確には覚えられないし、まして実績は何かを聞かれて、答えられる人は少ないでしょう。

なぜこんなに代わるのか。一つの理由は「議院内閣制」にあるといえるかもしれません。総理大臣は国会が投票によって決めます。従って、過半数を制している政党か政党の連合が首相を出すことになります。その首相の政権運営が何らかの理由で難しくなると、衆議院を解散して総選挙をするか、首相が辞めるしかなくなります。首相を出した与党は、選挙をすれば議席を減らす可能性が大きいので、総選挙をしたがらないのが普通です。そこで、首相の顔をすげ替えることになります。

もう一つの理由は、衆議院の多数派と参議院の多数派が異なる、いわゆる「ねじれ国会」に求められます。多くの法案は、衆議院と参議院の両方を通過しなければ成立しませんが、ねじれが原因で法案成立率が大幅に低下しています。国家は法律によって動きます。法律が成立しなければ政府は政策を実行できず、社会に支障が出ます。そうなると、政府のトップである総理大臣は行き詰まってしまいます。

外国ではどうでしょう。アメリカは、国民が直接選挙で選ぶ大統領制を採用しています。任期は4年で、普通はその間に辞職することはありません。フランスや韓国は任期5年、ロシアは任期6年です。それに対して、イギリスやドイツ、オーストラリアなどは日本と同じ議院内閣制を採用しています。しかし、毎年のように首相が代わる国はありません。 制度的な問題なのか、それとも日本の政治家の「リーダーシップ」をはじめとする資質の問題なのか、どちらとは言いにくい、なかなか難しい問題だといえるでしょう。実際、小泉氏は01年から06年まで首相を務めました。政治スタイルには異論もあるでしょうが、政治家のリーダーシップの一つのモデルといえるかもしれません。

 
【ふじた・まさよし】
1948年生まれ。東京大学卒業後、「週刊東洋経済」記者・編集者を経て「ニューズウイーク日本版」創刊プロジェクトに参加。同誌編集長、編集主幹。現在はフリージャーナリストとして活躍中。