自校のグラウンドが使えないハンディにもめげず、選手たちは緊張感を持って練習に励む

静岡高(静岡)が、3月21日に開幕する第87回選抜高校野球大会への出場を決めた。昨秋の県大会で3連覇、東海大会を50年ぶりに制した名門は、自慢の長打力で全国優勝という確固たる目標を掲げている。
(文・大橋哲也 写真・幡原裕治)

グラウンドが使えない

野球部員は昨年11月末から週4回、2年前に閉校した静岡南高校のグラウンドでの練習を余儀なくされている。バックネットの耐震工事により、自校のグラウンドが使用できないからだ。

工事が終わるのはセンバツ開幕後の3月末。それまでは静岡南への移動に往復1時間も要する不便な状況が続くが、捕手の堀内謙伍(2年)=静岡・東海大翔洋中出身=は「照明は静岡南の方が明るいし、そんなに困っていない」と意に介していない。静岡南のグラウンドが使えない火・木曜は筋トレやランニングで体づくりに励み、月曜はオフに充てている。

静岡南での全体練習を終え自校に戻ってからは、多くの選手が校内の屋内練習場で誰に言われるでもなく、午後10時ごろまでトスバッティングやピッチングなど個人練習に励む。栗林俊輔監督(42)は「負けず嫌いが多いんです」と笑う。

野球ノートを毎日提出

栗林監督は、選手にその日の練習内容や翌日の課題、体調などを記す「野球ノート」を毎日提出するよう課している。「字体を見るだけでも、彼らの考えていることや精神状態が分かるんです」(栗林監督)

チームの売りはバッティングで、打線の上位から下位まで長打力のある打者がそろう。秋季地区、県、東海大会の10試合中8戦でコールド勝ち。東海大会では3試合で計7本塁打を放った。強力打線の中軸を担う堀内は「センバツでは好投手と対戦してみたい」と意欲を見せる。

逆境でも諦めない粘り強さも光る。県岐阜商(岐阜)と対戦した東海大会決勝では、3度リードを許すも追いつき、延長12回の激戦を制した。

内野手の安本竜二主将(2年)=同・安倍川中出身=は「目標は全国優勝」と断言する。自慢の長打力と粘りを、甲子園でも遺憾なく発揮するつもりだ。

【TEAM DATA】
1896年に静岡県尋常中学校野球部として創部。部員27人(2年生17人、1年生10人)。センバツ出場は1999年以来16年ぶり15度目。夏の甲子園は23度出場。OBに増井浩俊(北海道日本ハムファイターズ)ら。