お話を聞いた先生!  

小野浩之助教社会システム科学部   経営情報科学科

「数値化」することで「やさしさ」がより明確になる!

「環境にやさしいペットボトル」「環境にやさしい洗剤」など、最近は環境にやさしいことをうたった製品が増えてきた。

「企業としては、単に利益を追求するだけでなく、環境に配慮した取り組みにより社会貢献していることをアピールするねらいもあるのでしょう。でも、そうした製品の中には必ずしも環境にやさしいとは言えないものもあるんです。すでに公表されていますが、古紙使用率100%の再生紙もその1つです」と話すのは、千葉工業大学社会システム科学部 経営情報科学科の小野浩之助教だ。

再生紙は1度使った紙を液体にして作る。原料となる木材を新たに伐採しないという点では環境によいかもしれない。ところが、紙を作る際に使うエネルギーの量などを厳密に計算し、トータルで比較すると、再生紙を作るほうが地球資源をより多く消費することがわかったという。

「『環境にやさしい』はよく使われる言葉ですが、実際は何を根拠にそう言えるのかが示されていない場合が多いんです。すごく漠然としている。では、環境への影響を、より明確に、客観的に表すためにはどうすればよいのでしょうか。そのカギとなるのが『数値化』です」。実は、環境に与える影響=環境負荷を評価するための計算式があるのだ。これを使って産業活動や製品の環境負荷を数字に表し、評価していくのが小野助教の研究だ。

数字に表して根拠を明確に

企業がものづくりを行う際には、どうしても二酸化炭素(CO2)が出る。地球温暖化がこれ以上進まないよう、最近は企業も排出量の削減に取り組んでいるが、環境負荷を評価する項目はCO2の排出量以外にもあるのだ。「湖沼の富栄養化やオゾン層の破壊、資源枯渇などです。そのため、こうした項目も含めてトータルに評価することが必要。CO2の排出量がいくら少なくても、資源を大量に使っていては、環境にやさしいとは言えませんから」

また、「環境にやさしい」という表現については国も問題視していて、消費者の誤解を招かないよう、「この製品はCO2の排出量をこれだけ減らしました」といった表現に改めるよう求めているそうだ。「いずれにしても、企業は今後、環境への影響をより明確な根拠とともに示していく必要があるでしょう」ただし、そのためには課題もある。環境負荷を評価するために使う計算式が非常に複雑で、計算が容易ではないのだ。頭を抱えた企業が小野助教のもとに依頼してくることもあるとか。さらに、現在の計算式では複数の環境負荷項目を一括して評価できないという難点もある。小野助教はこうした問題を解決すべく、環境負荷をトータルに評価できる、誰もが使えるシンプルな計算式を作ることを目指している。

条件次第で環境負荷が変わることも

では、製品の環境負荷を実際どのように評価していくのだろうか。「例えば自動車なら、まずイメージ上で各パーツに分解します。それから、プラスティックや鉄など、どんな材料が何グラム使われているか、パーツに穴を開ける時に油を何ミリリットル使うか、組み立てる時にどのくらい電力を使うか…というように1つひとつ見積もり、計算していきます。正直、かなり根気のいる作業です(笑)」

研究室には、ガソリン車、ハイブリッド車、電気自動車など、異なるエネルギー源で走行する自動車の環境負荷を比較している学生もいる。「走行距離やバッテリーの交換時期などの条件を考慮して計算していくと、環境負荷が一番小さそうに見えた車が実は一番環境負荷が大きかった、といった予想外の結果が出ることもあって、面白いですよ。こうしたことがはっきりわかるのも、数値化するからこそ。数値化し、評価するこの手法は、環境負荷だけでなく、コストの見積もりなどにも応用できると考えています」

 

 


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