髪を編みこみ、ルーズなファッションで魅せるだけがダンスじゃない! 大阪を意識したコテコテのファッションと、完成度の高い踊りで会場を沸かす、楽しくてカッコいいダンスを追求する浪速っ子たち、大阪府立今宮高校ダンス部を紹介する。 (文・写真 東憲吾)

手作りの通天閣を背景に、「おおきに」「まいど」と書かれたのぼりが立つステージで、ダンサー扮ふんする「くいだおれ太郎」がステップを踏むと、会場からは手拍子と歓声が沸き起こった。ダンスのステージというよりもエンターテインメントショー。目にした者全ての心を弾ませる、約4分間の演技だった。

7月21日と22日に開催された全国高校ダンスドリル選手権大会・ノベルティ部門で1位を獲得。2年連続となる世界選手権への出場も決めた。同部が1位を獲得したノベルティ部門とは、ユニークなキャラクターやユーモアあふれる情景を、ダンスや衣装で視覚的に表現しあうダンス競技部門。ダンスのみならず、観客を楽しませる技術も求められている。昨年度のチームは国内3位だったものの、世界選手権では1位を獲得。新チームにはいや応なく期待がかかった。

そんなプレッシャーの中、新チームが掲げたテーマは「THE・ナニワのエンターテインメントショー」。顧問の春名秀子先生は「ダンスを通じて元気を発信する。これがウチのモットーです。今年は通天閣と吉本新喜劇が開設100周年という記念すべき年で、大阪は活気にあふれています。そのパワーと元気をダンスで表現したかった」と、テーマの選定理由を説明する。ちなみに、くいだおれ太郎の衣装アイデアを実現できたのは、ほかならぬ春名先生のおかげ。マネジメント会社へ事情を説明し、許可を仰いだ先生の熱意がなければ、今回の成績はなかったかもしれない。

表彰後、新チームの部長を務める渡辺くに華さん(2年)は「高校からダンスを始めた部員がほとんどなので、平日は4~5時間、休日は7時間以上の練習を重ねてきました。みんなをまとめることで精いっぱいでしたけど、結果を残せてうれしいです」とホッとした表情を浮かべた。今回の出来栄えに関して、春名先生は「満点です。生徒がさらに自主的に練習するようになれば、もっと上を目指せるはず」と期待を寄せる。世界大会の開催は来春。大阪の元気とパワーで世界選手権2連覇を目指す。