注目を集める清宮らは、冬のトレーニングでさらなる打力アップを果たした

3月19日に開幕する第89回選抜高校野球大会(兵庫・阪神甲子園球場)に、早稲田実(東京)が4年ぶり21回目の出場を決めた。新チーム結成後は新しいスローガンを打ち立て、体づくりを強化。昨秋の都大会で優勝、明治神宮大会で準優勝を果たし、選抜では2度目の優勝に挑む。(文・写真 茂野聡士)

清宮発案の体づくり

昨夏は激戦の西東京大会を勝ち上がれず、甲子園の地へとたどり着けなかった。新チームの主将に就任した清宮幸太郎(2年)は「その悔しさを忘れずにスタートしよう」という気持ちを持つように心掛けつつ、あるスローガンを設定した。

そのスローガンとは「GO!GO!GO!」。シンプルな英語だが「そこには具体的な目標が詰まっています」(清宮)。「GO!」には「行け!」という意味だけでなく、数字を「5」伸ばす思いも込めた。清宮は「体づくりをしっかりして、力をつけていく狙いがあった」と説明する。

「まずは体重を『5キロ』増やそう、それに加えてバッティングでは飛距離を『5メートル』アップさせよう、そして投手は球速を『5キロ』アップさせよう、という具体的な目標を立てて、全員が練習に打ち込みやすいようにしました」

スタンドインが増えた

スローガン通り、体幹やウエートトレーニングを重点的にこなした。その効果を実感するのは、清宮とともに打線の主軸を務める野村大樹(1年)だ。1〜2日間隔を空けて筋トレをしたことで、バットのスイングが速くなったという。ロングティーと呼ばれる打撃練習では、スタンドインする回数が増えた。「以前は1日に5、6本入るか入らないかでしたが、今は40〜50球打てば10本以上入るようになりました」

大舞台で成果発揮へ

チームを率いる和泉実監督も「選手たちが自主的に考えて練習に取り組んでいる成果です」と個人能力の向上を認めている。同校が目標とするのは2度目となる選抜優勝。清宮は「いい雰囲気の練習を続けつつ、これまで取り組んだ体づくりを土台に、技術的な部分を突き詰めていきます」と話す。注目度が高まる中でも、じっくりと鍛錬した成果を大舞台で発揮しようとしている。

 
【TEAM DATA】
1901年創部。部員63人(2年生32人、1年生31人)。大正時代から全国大会に出場している名門校で、今回が春夏通じて通算50度目の甲子園出場となる。主なOBは斎藤佑樹(北海道日本ハムファイターズ)、王貞治氏(福岡ソフトバンクホークス会長)。