高校生がなりたい職業の中で常に上位に位置する「学校の先生(幼稚園・保育園含む)」。そして高齢社会のなか需要が高まる福祉分野の仕事。今回は、これらの仕事に就くための情報や最近の動向について詳しく解説していこう。(大学問題アナリスト 野澤和範)

“小学校”は全教科が基本、中学・高校は教科別

学校教育法の第一条に規定されている小・中・高等学校の教員は、文部科学省の管轄。教員養成課程を備えた教育学部等に進学することが条件となる。

●小学校

小学校の先生は全教科を一人で指導することが基本。体育や図工、音楽も担当する場合がある。さらに近年は、英語教育能力も必要になってきている。

まず大学の教員養成課程で学び、教員免許状を取得。そのうえで、公立学校の場合は、都道府県等が実施する教員採用試験に合格する必要がある。私立学校の場合は、各学校法人で実施する採用試験を受験する。

学部選択としては、国立大学の教育学部や学芸学部、学校教育学部等の小学校教員養成課程で学ぶのが最善だ。なお、私立大学では、小学校課程を設置しているところが少ないので要注意。

 

●中学校・高等学校

中学・高校は、教科別の教員免許になるため、教育学部以外でも教職課程が設置されていれば取得可能。私立大学でも多くの学校が教職課程を設置している。

●幼稚園と保育園(所)

それぞれ幼稚園教諭、保育士の資格(国家資格)が必要。保育園(所)は、子どもの保育が困難なケース(0歳以上で、保育に欠ける児童)が対象で、一般的に夕方・夜まで子どもを預かる。

幼稚園教諭や保育士の養成には、ともに私立大学の教育学部やこども学部等が該当するが、短期大学や専門学校でも取得が可能だ。しかし、昨今は4年制大学が主流になりつつある。一般教養や外国人保護者等の異文化理解能力を求められるケースが増え、保育と同時に保護者のケアや指導といった対応も重要視されているからだ。そのため4年制大学で十分な学修経験を積んだ人材が評価されつつある。

近年は幼稚園と保育園(所)を合体した認定こども園が増えている。多くの大学で幼稚園教諭と保育士のW取得が可能だが、これは有利となる。

最近は保育園(所)の待機児童が大きな話題になっている。保育士の需要は極めて高く、待遇面での改善が期待されている。

 
 

ますます需要が増える“福祉系”の仕事

受験生に人気のある福祉分野の学部。日本の高齢化は今後も進み、平成32 (2020)年には、29.1%、つまり3人に1人が高齢者となることが推計されている。現に、高齢者を対象としたリハビリパークや医療施設の設置も相次いでいる。当然、それに伴う医師や看護師および社会福祉士の需要は高い。

高齢者を介護するための資格を取得できる社会福祉分野の学部が私立大学を中心に続々と開設され、学生も増加傾向にある。

また、障害者の自立や社会参加等を支援する分野もあり、福祉の対象領域は広がる一方だ。ただし、これらの仕事は決して楽なものではないので、この分野に進む人はそれなりの覚悟と体力が必要である。

福祉系の中でも人気の高い「社会福祉士」「介護福祉士」「精神保健福祉士」の3つの資格は、“三福祉士”と呼ばれている(いずれも国家資格)。大学等で所定の科目を履修し、単位を修得すれば国家試験を受験可能だ。

目指す大学・短大等が、国家試験受験のためのプログラムを用意していることを確認する必要がある。また、その学校の過去の国家試験合格率もチェックすると良い。国家資格を取得することで就職に有利になることはもちろん、その道のスペシャリストとして幅広く活躍することができるだろう。