東京経済大学が、学生の資格取得を支援するために設置しているCSC(キャリア・サポートコース)。主に資格講座、公務員講座、就職支援講座に大別され、学生の希望に合った支援が行われている。その詳細について、同コース運営委員長の若尾良男教授にうかがった。

段階的に専門性を高める資格取得支援のしくみ

Q.CSCの資格取得支援とは?

CSCは、資格取得支援を目的とすると同時に、段階的に専門性を高めていくしくみを作ることで、入学時のモチベーションの維持、向上をめざしています。本学の前身、大倉商業学校の創立者・大倉喜八郎は「進一層」ということばを建学の精神としました。これは現代で言う「チャレンジ精神」。それを実践的に育むものです。
 講座は「会計専門職」「法律専門職」「公務員」「ビジネス」「情報処理」「就職支援」の6コース、25講座を設置しています。専門学校の講師を大学に招き、学内でのダブルスクールを実現します(一部、専門学校に通う講座もあり)。より高い目標をめざす学生に向けた正課教育(プロフェッショナルプログラム)との連携も行っています。

Q.資格取得のメリットは?

理工系は学科ごとに将来はスペシャリストとして活躍の場がありますが、文系はゼネラリスト(いろいろな分野の知識や能力をもっている人)でありながら、その学科を卒業して何ができるのかはあいまいです。しかし、資格をもつことは「この分野に強い」ということや、大学時代に努力して勉強をした証となり、就職時の強みにすることができます。

Q.簿記に力を入れていますが、どうしてでしょうか?

大学名に象徴されるように、経済・経営学は本学の要です。なかでも簿記を学ぶことは、社会のお金の流れを知ることができ、これは将来、どんな企業で働いても重要な知識となります。
 また、公認会計士や税理士などは難関資格ですから、1年次に簿記検定や法学検定を受けることで、自分の適性を見極め、徐々に難度を上げていきます。入学者には、ビジネスの基礎として、ぜひ簿記3級を取得してほしいと思っているので、簿記講座に関しては定員を設けていません。入学者が毎年1500人ほどいますが、現状では、そのうち300人ほどが簿記3級に挑戦しています。今後、希望者が増えても全員受講できるようにしたいと考えています。

資格取得の難度に合わせた報奨制度

Q.経済的な支援もされているそうですが?

学内で講座を実施することで、受講料を低額に設定しています。講座によっては、専門学校の半額ほどになるものもあります。
 資格取得の表彰制度も設け、資格の難度に応じて図書券や報奨金が与えられます。最難関国家資格の一つである公認会計士の場合、学長賞として10万円が給付されます。

Q.他にはどんなサポートがありますか?

指導は専門学校の講師ですが、大学の専任教員や職員も、勉強法などの相談に乗ります。卒業生による公認会計士や税理士の組織がありますので、進路の相談にも乗ってもらうことができます。
 自習室も十分な数の机を備えるほか、難関資格をめざす人には個人ロッカーもあります。2014年度中には、旧図書館を改装した新施設に移動するので、今まで以上に学びやすい環境となるでしょう。

Q.最近の実績はいかがですか?

ここ数年、在学中に公認会計士試験に合格する学生が複数名出てきました。税理士試験は科目合格制なので、学生のうちから少しずつクリアしていき、卒業後1~2年で取得する傾向です。また、2013年度の公務員試験では、東京23区5人、群馬県庁3人、長野県庁1人、などの成果を残しています。

-最後に、高校生にメッセージをお願いします。

社会では常に新しいものが目の前に現れてきます。ですから、柔軟に対応できる知識をもち、またその知識の使い方を大学で学んだうえで、資格を活用してほしいですね。実際の仕事の現場では、人とのコミュニケーションが大切だということを忘れずに、大学で多くの経験をして、資格を活かしてください。